賃貸経営をされている方にお役に立つ法律について、最新判例等を踏まえ弁護士が解説したアドバイスです。
すべては契約書の図面から!請負契約と設計図面
マスク着用が各自の判断になってから大分時間が経ちますが、まだまだマスク着用派が多数です。
先日、電車の中でマスクをしない人がどれくらいいるのか数えたところ、私の乗っていた車両に乗車していた人の人数が60人くらいだったのに対して、マスクをしていない人は8人でした。
私は、今のところ、混んでいる電車やエレベーターの中と依頼者との面談の際は、マスクをするようにしていますが、それ以外では、マスクをしていません。
ゴールデンウィーク明けには、どこでも、だれといてもマスクをしない!に挑戦してみようかと思っています。
今日は、建築請負契約における設計図面と見積書のお話です。
不動産についての相談でよくあるのが、建物の建築やリフォームをしてもらったが、希望したとおりに出来ていないのでなんとかして欲しいというケースです。
窓の位置が違うとか、クローゼットが狭いとか、照明器具が違うとか、そういうことで紛争となり、相談に来られるのです。
このような相談の際、まず弁護士が言うことは、「契約書を見せてください。」です。
通常、建物を新築する場合の建築請負契約書には、見積書と建築図面が添付されています。
また、建築請負契約書に見積書と建築図面が添付されていない場合でも、建築請負契約書には、建築する内容として「○年○月○日付見積書及び建築図面による」ということが記載されています。
そうでなければ、一体どんな建物を建てるのか、どんな設備を設置するのか分からず、契約の中身を確定できませんので、契約として成り立ちません。
逆に言えば、窓の位置が違うとか、クローゼットが狭いとか、照明器具が違うという主張は、あくまで建築請負契約書に添付されていたり、明記されていたりする見積書及び建築図面と、実際に施工された内容が一致しないときに、初めて認められるのです。
ですから、注文主から希望したとおりに出来ていないのでなんとかして欲しいという相談を受けた弁護士が、まず最初に言うことは、「契約書を見せてください。」なのです。
ところが、相談者が建築請負契約書を持ってきていないとか、建築請負契約書を持ってきていても、そこには見積書や建築図面が添付されていないということがよくあります。
もちろん、建築請負契約書に見積書や建築図面が添付されていなくても、建築請負契約書に書いてある「○年○月○日付見積書及び建築図面」を持ってきてくれていれば良いのですが、これを持ってこないという相談者もいます。
これでは、相談者の言うことが、本当なのかどうか判断することができませんので、結局、相談者には、出直していただくことになります。
しかし、より本質的な問題は、建築請負契約書を持ってこなかったり、建築請負契約書に書いてある「○年○月○日付見積書及び建築図面」を持ってこなかったりする方は、建築請負契約における見積書及び建築図面の大切さを、あまり理解されていないということです。そして、それが、紛争を生む原因となるのです。
注文主が希望したとおりに出来ていないかどうかは、注文者の主観ではなく、あくまで建築請負契約締結時に契約の内容となった見積書及び建築図面どおりできているかどうかによって決まります。
ですから、注文主は、希望した建築内容が、建築図面と見積書に盛り込まれているか、契約締結前にしっかりと確認する必要があります。
また、工事の途中で、建築内容を変更した場合は、必ず書面に残さなければなりません。そうでなければ、後で、言った言わないという争いになってしまうおそれがあります。
面倒かもしれませんが、家を新築したりリフォームしたりするときは、希望した建築内容が見積書と建築図面に盛り込まれているか、変更内容が書面になっているかを、しっかり確認してください。
逆に言えば、こうした確認に対して、丁寧に対応してくれる業者は、よい業者だと思います。
大谷 郁夫Ikuo Otani弁護士
銀座第一法律事務所 http://www.ginza-1-lo.jp/
平成3年弁護士登録 東京弁護士会所属趣味は読書と野球です。週末は、少年野球チームのコーチをしています。
仕事では、依頼者の言葉にきちんと耳を傾けること、依頼者にわかりやすく説明すること、弁護士費用を明確にすること、依頼者に適切に報告することを心がけています。