知っておきたい建築の基礎知識

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知っておきたい建築の基礎知識

ひとことに戸建住宅といっても、その工法にはさまざまな種類があります。ここでは、住宅建築工法の代表的なものをご紹介いたします。

本コンテンツの内容は2023年4月30日現在(制作、更新時点)の情報に基づきます。

木造

木造軸組工法
土台、柱、梁で骨組みをつくります。さらに、筋かいという対角線状に強度を持たせるための部材を入れるのが躯体構造の基本となります。
-優れているところ-
  • 構造上の制約が少なく、小刻みに柱や壁を動かすことができるため、設計や間取りの自由度が高い
  • 変形・狭小敷地に対応しやすい
  • 開口部の設定がしやすく、大きな窓が取り付けられる
  • 増改築がしやすく、部材も豊富に利用できる
  • 木造住宅を施工するほとんどの工務店が対応できる
-気をつけたいところ-
  • 施工会社・職人の腕で納まりや仕上がりの精度にバラつきが出ることも
  • 大きな吹抜けなどをつくるのは特殊材を使わないと難しい
  • 含水率の低い木材を選ばないと、木がやせたり反ったりする
  • 湿気の多い土地ではシロアリや腐朽対策が必要となる
2×4工法
2×4インチの規格化された枠組材に、構造用合板などを釘で打ちつけたパネルで床・壁・天井の6面体を組み立てていく工法です。
-優れているところ-
  • 6面体で支える箱型構造のため、強い耐震性を備える
  • 構造体に隙間がないため、気密性、断熱性、耐火性に優れている
  • 施工方法に公的基準があるため、品質が安定しやすい
  • 職人技ではなく、熟練を積めば施工ができる
  • 壁はパネルで造られているので、工期は比較的短い
-気をつけたいところ-
  • 壁で強度を保っているため、設計の自由度は低くなりがち
  • 将来の増改築がしにくい
  • 大きな窓など大開口部の設計が難しい
  • 2階の音が1階に伝わりやすい

鉄骨造

重量鉄骨ラーメン構造
厚さ6mm以上の鉄骨で柱や梁をつくり、骨組みが変形しても外れない剛接合(ラーメン)で接合する工法。もともとは中高層の建物に用いられる工法で、耐震性・耐久性は大きく期待できる。構造上の制約もなく、設計の自由度も高い。
-優れているところ-
  • 間取りや開口部の自由度が高く、大空間がつくりやすい
  • 耐震性・耐久性が高い
  • 部材次第で4階建て以上もでき、大型建築に向いている
  • 内部の改装がしやすい
  • 部材が工場生産のため、品質が安定している
-気をつけたいところ-
  • 酸化しやすいので、サビに注意。熱や火にも弱い
  • 重量があるので基礎工事費が高くなり、木造に比べて全体の建築工事費も高くなる
  • 組み立てにクレーンが必要なため、道路が狭い土地では難しい
軽量鉄骨
厚み6mm以下の軽量鉄骨で柱や梁をつくり、ボルトなどで接合する工法。補強にはブレース(筋かい)を用いる。多くのハウスメーカーが参入しているので、予算やプランなどは検討しやすい。
-優れているところ-
  • 耐震性・耐久性が高い
  • 敷地対応力が高く、3階建てができる
  • リフォームがしやすい
  • 他の工法より工期が短くて済む
  • 部材が工場生産のため、安定した品質が保証される
-気をつけたいところ-
  • 重量鉄骨と同様、酸化しやすく、サビに注意。熱や火にも弱い
  • 重量鉄骨に比べると大きな空間をつくることには無理がある
  • 揺れや音が伝わりやすく気になることも

鉄筋コンクリート造

ラーメン工法、壁式工法(以下共通)
柱・梁・壁・床を構成する鉄筋の周りに型枠を設け、コンクリートを流し込んで固める工法。耐久性・耐震性・耐火性に優れています。特に壁式工法は柱の出っ張りもなく、すっきりとした空間がつくられるので、住宅向きといえる工法です。
-優れているところ-
  • 耐久性・耐震性・耐火性・気密性・遮音性・断熱性に優れている
  • 防火地域に建てられる
  • 建物に重厚感がある
  • 現場施工なので、変形・狭小敷地にも対応できる
-気をつけたいところ-
  • 他の工法に比べ工期が長く、コストも高い
  • 建物に重量があり、地盤が悪いと地盤改良が必要
  • 狭小敷地は規模のメリットがないので、割高になりやすい
  • コンクリートの品質や設計基準が求められ、施工が適切でないと強度が劣る

ユニット工法、プレハブ工法

ユニット工法
工場で内装から設備機器、外壁までつくりこんだユニットを現場に運び、クレーン車で組み立てられます。すべての工法の中で最も工期が短い工法といえます。
プレハブ工法
床壁天井を構成する「パネル」を前もって工場でつくり、現場で組み立てる工法。耐震性に優れ、2×4工法と同様の構造になります。
-優れているところ-(共通)
  • 部材を工業生産するため、品質が安定している
  • マニュアル施工のため、作業効率が良くコストダウンが図ることができる
  • 工期が短い
-気をつけたいところ-(共通)
  • 構造が規格化されているため、変形・狭小敷地には不向き
  • 間取りの変更、リフォームがしにくい
  • 外観のデザインがやや画一的になりやすい
  • 組み立てにクレーンが必要なため、旗竿敷地などでは施工が難しいケースもある