家づくりの「心」を「かたち」に、具体例を交え心の家づくりを解説した一級建築士のアドバイスです。
初めての持ち家「一戸建て」それとも「マンション」
多様な観点から検討
自分の家が欲しいなと思った時にイメージするのは、一戸建てが多いかもしれません。しかし、近年はマンションの方が良いという人も多くなりました。
持ち家は一度手に入れればずっと永く住むことになります。ただ、人生は誰もが予測できないことが起こりうることもあります。例えば、転勤、仕事が変わった、親との同居、親戚の子を預かるなど、時には住み替えをしなくてはならないことも生じるかもしれません。そこで一戸建てにしようか、それともマンションにしようかと迷っている人に予算面ばかりでなく住み心地やメンテナンス費用等も含めた多様な観点から家をもつにあたっての検討材料を考えてみます。
住み心地とお金の両面から比較
・住み心地とは住んでいて気持ちの良いことです。一戸建て、マンション、それぞれメリット、デメリットがあります。住み心地を比較してみましょう。
・一戸建ては一回に多額の出費があり、マンションはコツコツ支払っていくイメージです。お金について比較してみましょう。
アドバイス
一言でまとめるなら、独立性や広さを重視するなら一戸建て。駅から近くて利便性と安心を求めるならマンションといえます。
一戸建てには子どもが小さいときは庭での家庭菜園や土いじり、そしてバーベキューなど屋外での楽しみがあります。
一方、子どもが独立して夫婦二人あるいは一人になると一戸建ての管理が大変になり、また防犯も考えるとマンションに住み替えるという人も近年は多くなりました。
長いスパンで住まいを考えるとき資産価値という観点も大切です。これまで日本の住まいはなかなか資産とはならなかったのですが、これからはそういったことも含めて検討しておくと良いでしょう。
初めて持ち家を持つあこがれはありますが、その前に自分達家族が求める暮らしをどう実現していくのか、しっかりと優先順位を明確にして一戸建て、マンションを選んでいくことです。
佐川 旭Akira Sagawa一級建築士
株式会社 佐川旭建築研究所 http://www.ie-o-tateru.com/
「時がつくるデザイン」を基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマに個人住宅や公共建築等の設計を手がける。また、講演や執筆などでも活躍中。著書に『間取りの教科書』(PHP研究所)他。