築年帯別中古マンションの流通事例数ランキングと坪単価、坪賃料との関係 2018年3月
今回は2017年1年間の中古売事例のデータを使い、首都圏の中古マンションの売事例数が多い行政区のランキングを公表します。
同時にこれらの行政区が坪単価において何位なのか、坪賃料では何位なのかを同時に示します。これらを築10年、築20年、築30年と分けて分析しその違いを見ようという試みです。
中古マンションの売事例は当然のことながら、賃料事例も築年を10年、20年、30年と限定してデータを抽出しています。
築10年中古マンション(築年が9年超11年未満の中古事例)
2017年における築10年の中古マンション(築年が9年超11年未満の中古事例)の中古流通事例数の最も多かった行政区は東京都港区の1823事例で、2位は江東区の1128事例、3位は世田谷区の1054事例となっています。
港区は築10年中古マンションの坪単価は418.5万円と中古価格としては高額になっていますが、築10年の坪賃料も14,992円都下なり高水準となっていることから、投資買いなども多くなっていると見られます。
4位の中央区や5位の新宿区も同様の傾向が表れていると見られますが、2位の江東区では多くの売り事例が出ている中で坪単価は261.1万円と相対的には割安となっています。多くが湾岸のタワーマンションから発生している事例です。
坪賃料水準も17位と低いことからも実需で購入する比率が高まっていると推察されます。
一番極端な例は6位の足立区でしょう。2017年は築10年中古マンションが872事例も売りに出されました。築10年の坪単価は147.6万円で61位と低水準で買いやすい状態になっています。
坪賃料の水準も6,810円とやはり低く、高収益は望めないものの、実需の購入者には手が届きやすい状態です。
中古マンションの価格は2016年以降概ね横ばいの状態となっています。事例数が多くかつ坪単価が低くなっている行政区は、高額となってしまった新築マンションに対する受け皿として機能していると見られます。
築20年中古マンション(築年が19年超21年未満の中古事例)
築20年の中古マンション(築年が19年超21年未満の中古事例)の中古流通事例数の最も多かった行政区は東京都江東区の752事例で、2位は世田谷区の692事例、3位は江戸川区の572事例となっています。
築10年中古マンションでは1位であった東京都港区は8位で順位が大きく変動しています。
また築20年の中古マンションでは中古流通価格が高額となっている行政区が多くはなく、坪単価が200万円以下となっている行政区が上位20位中(20位がダブっているので21行政区中)11行政区と過半を占めています。上位には江戸川区(3位)、足立区(4位)、大田区(5位)など坪単価が100万円台や200万円を少し超えて水準の価格となっている行政区が占め、築20年になると投資ベースの動きは減少して実需ベースの取引が多くなる傾向がはっきりと出ています。
坪賃料も10,000円を越えているのは6行政区のみで、投資適性の高い行政区はランキング外となっています。
築30年中古マンション(築年が29年超31年未満の中古事例)
築30年中古マンション(築年が29年超31年未満の中古事例)は1987年頃に竣工した物件が多いため、分譲は1985年~1986年頃に分譲された物件が多くを占めています。90年バブルの前でまだ地価が急上昇する以前の分譲物件が該当します。そのためニュータウンの大規模マンションが立地している行政区が上位に顔を出しています。
1位は大田区で431事例、2位は葛飾区で327事例、3位は江東区が324事例流通しています。築30年中古マンションはほぼ実需で構成されていて、横浜市の行政区では坪単価が100万円を切っている行政区も見られます。売手も買手も割安感を出すことによって、実需ベースで買い換えを行う人が取引しやすい環境が整っていると考えられます。
新築・中古マンションが高額となっている現在では中古マンションがどの程度の価格で購入できるのかと同時にどの程度の事例の量が流通しているのかを把握することが、購入や住み替えにとっては必要であると思います。
※専有面積30㎡未満の住戸、事務所・店舗用ユニットは集計から除外。
※ランキングは100位までを掲出
(データ提供:東京カンテイ)