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2014年12月号

不動産市況や業界動向などの旬な情報を記載したコラムです。

首都圏 主要都市別マンションストックから中古事例が出る割合ランキング

~政令市の区別にストックの何%が中古市場に事例として出ているのか調査

東京23区:人気の世田谷区と目黒区が上位に 城東は高く都心部は低くなる傾向

 東京23区の事例発生率をランキングで見ると、1位は世田谷区で、事例発生率は16.36%となっています。世田谷区は面積が広く、人口や世帯数も多いことも大きな要因ですが、古くから東急線や小田急線といった人気沿線にマンション開発が進みストック戸数が多いことに加え、人気の住宅地も多く流通市場が活性化していることも事例発生率が高くなる理由です。城東エリアの区が上位に入っているのも注目です。3位の足立区14.47%、6位の葛飾区13.07%、7位の江戸川区13.04%、8位の墨田区12.82%と、城東エリアは他のエリアと比べ価格が安く、一次取得者に人気があり中古物件の流通も盛んに行われており、価格が安い物件を中心に中古事例がコンスタントに発生しています。
 価格が下がりにくく資産性の高さが魅力の都心6区の中では、港区が13.51%(5位)と上位にあるが、渋谷区12.70%(11位)、新宿区12.23%(15位)、文京区11.60%(17位)、中央区10.75%(20位)、千代田区10.26%(22位)と事例発生率は低くなっています。都心6区の物件は価格が高く、購入者が限られてしまうことが、売り事例の数が少なくなる原因です。

横浜市・川崎市:横浜市では南区が、川崎市では宮前区がトップ

 横浜市では南区の事例発生率が16.46%で1位です。南区は横浜市における中心区の一つで、人口も多く住宅の高層化が進んだ地域で、交通利便も良いため売り事例がコンスタントに発生する傾向があります。また、市内で最多ストック数46,052戸が存在する港北区については、事例数も5863件と市内で1位の件数ですが、事例発生率で見ると12.73%と8位に留まっています。港北区は港北ニュータウンのマンションがストックの多くを占めるが、都内へも横浜へも利便性が良く、築20年を過ぎても買い換えで売り事例が出るケースは比較的少ない傾向があります。地域の人気ゆえに事例発生率が低くなる例とみられます。

 川崎市は宮前区が16.14%と1番事例発生率が高くなっています。また、宮前区を中心に近隣の多摩区14.21%、高津区13.15%、麻生区12.04%と川崎市の内陸エリアでの発生率が高くなっているのが特徴です。海側エリアでは、川崎区が11.19%となっているほか、武蔵小杉の大規模再開発があり市内で人口数、マンションストック戸数が共にトップの中原区は8.39%と事例発生率は7区のうち6番目となっています。川崎区や中原区はもともと工業エリアとして発展を遂げた地域で、工場がマンションに転換され始めたのは2007年以降のことですから、本格的に物件が流通するのは今後のことになるでしょう。

千葉市:各区ともに大きな差は生じていない

 千葉市における行政区別の事例発生率は概ね10%前後で区によって大きな差がありません。最も事例発生率が高いのは中央区の11.17%で、第2位には稲毛区の11.12%が僅差で続いています。また、湾岸エリアに数多くの高層マンションが立ち並ぶ美浜区は、ストック戸数・事例数ともに市内最多を誇っているものの、事例発生率は10.52%の第3位となっています。市内でも内陸エリアに位置する緑区(9.25%)や若林区(9.22%)は少ないストック戸数を反映して比較的事例発生率も低くなっています。

埼玉県:西区や緑区などマンションストック戸数が少ない区ほど流通している

 さいたま市では西区が15.19%とやや突出して高く、緑区(13.33%)や桜区(13.12%)が13%台で続いています。千葉市と比べると中古事例になる比率が高くなっているのがわかります。第5位の見沼区(11.88%)まではストック戸数が1万戸を下回っており、対照的に第6位の北区(11.61%)以下ではいずれも1万戸以上となっていることから、さいたま市においてはストック戸数が多い区ほど事例発生率が低くなる傾向があることがわかります。ストックが多い区では近年再開発に伴って新築マンションが続々と竣工していますので、これら物件が中古事例として流通し始める10年後あたりからは事例発生率も上昇する可能性が高いと考えられます。
 政令市の区ごとに中古マンション流通割合を見ると、東京23区のように人気エリアほど中古物件の動きが活発で、ランキング上位を独占している都市がある一方で、横浜市港北区のように居住性や利便性の高さから、ストック数が多いにもかかわらず売りたい人が少なく事例発生率が小さくなる都市もあることがわかりました。その一方で郊外のエリアでは、早く物件を売却して都心近くに買い換える傾向が強く、事例の発生率が高くなっています。このような動きを参考に売却や購入を考えると、条件の良い物件やお気に入りの物件を見つけやすくなるのではないでしょうか。

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