不動産購入、不動産売却は「三井住友トラスト不動産」

 マンション価格が周辺の賃貸物件（分譲マンションの賃料を使用しています）の相場賃料の何年分に相当するか＝購入を検討している分譲マンションの価格は周辺の相場賃料換算でどれくらいの期間で換算できるか、を示す数値が“マンションPER”です。株式の世界で使われるPER（株価収益率）をマンションに応用した東京カンテイオリジナルの指標で、通常は駅単位で集計し、公表しています。2012年の首都圏平均値は23.83、近畿圏は24.42、中部圏では23.74でした。つまり首都圏では特定の駅の相場賃料の23.83年分が平均的な首都圏新築マンションの価格であるということです。あくまでも目安ですが、いずれの圏域でも、現状では概ね月額賃料の24年分くらいが分譲マンションの相場価格に相当するようです。マンションの分譲価格が高いのか安いのかは金額を見れば誰でもわかりますが、割安か割高かはわかりにくいものです。このマンションPERを参考にして物件選びの参考にして下さい。

 さて、分譲マンションが駅に近いか遠いか、また何階建てか、大規模物件か小ぶりな物件かをマンションを選ぶ際のポイントにしている方は多いと思いますが、このマンションPERを使って、これらの属性ごとにマンション価格が割安か割高かを調べてみましょう。

まずは最寄駅からの所要時間別PERです。

当然のことですが、駅から離れるに連れてマンション価格も賃料も徐々に低下していきますから、価格と賃料のバランスで収益性を判断するマンションPERも、価格と賃料の下落する割合が同じ程度であれば数値が変わらないはずです。実際に徒歩3分以内から徒歩10分以内まではマンションPERは22ポイント前後で大きな変化はありません。しかし徒歩15分、20分と離れていくとマンションPERも徐々に上昇（悪化）し始め、特にバス便では34.71まで急上昇しています。つまり物件価格よりも賃料のほうが駅から離れることについての影響が大きいというわけです。マンションの資産価値を考慮する上でも、駅からの所要時間というのは是非チェックしていただきたい重要な要素です。

次はマンションの最高階数別PERです。

この数値にも一定の傾向が表れています。つまり低層物件はマンションPERが高く（悪く）、高層物件はマンションPERが低い（良い）という傾向です。5階以上になると数値が首都圏平均の23.83を下回りますから、最寄駅からの所要時間ほど大きな差は発生していませんが、少なくとも4階以下の低層物件では物件価格の割に賃料が取れないという結果になっています。邸宅型の高級物件が多い低層物件ですが、経済合理性では高層マンションに適わないようです。また、賃料も高層になるに連れて上昇していきますから、やはり“眺望は資産である”と言えそうです。

最後はマンションの戸数規模別PERです。

マンションの戸数規模ごとのマンションPERには先に紹介した2つの属性ほど明確な結果が表れていないように見えますが、300戸以上の“メガマンション”の数値が特に低く（良く）なっています。大規模なマンションは市街地中心部では多くの場合超高層マンションですから、先の階数別PERと同様の傾向が見られます。また、規模が大きくなると共用施設や設備が充実するので、それが賃料にも良い影響を与えていると考えられます。

三大都市圏では圏域平均のマンションPERやその動きに地域性が表れるものですが、今回ご紹介した“属性別マンションPER”にはあまり大きな違いが数値に出ていません。駅に近く、規模の大きいマンションは賃料というリターンが期待できるというのは、共通の条件のようです。近畿圏、中部圏のデータも是非ご確認下さい。