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2013年8月号

不動産市況や業界動向などの旬な情報を記載したコラムです。

消費増税はマンション市場にどのような影響を与えるか

~1997年5%引き上げ時との比較で探る消費増税期の新築マンション市場~

 上記のグラフは、首都圏のエリアごとの新築マンション平均価格を25年程度示したものです。この価格推移を見ると、左端に記載した1990年当時の“バブル価格”が如何に高額であったかが印象的ですが、今回注目すべきは1997年前後の価格推移です。バブル崩壊後、急速に下落していた新築マンション価格は、消費税が引き上げられる1年前の1996年には反転上昇しており、翌1997年に東京23区平均が4,834万円まで上昇しています。では1998年の5%引き上げ後の平均価格はというと、東京23区平均は4,488万円と7.2%も下落していますから、このデータからは、一義的には消費増税後に購入したほうが結果的にお得に買えたという結論を導くことができます。ただし、1997年当時は2003年前後まで続いた“資産デフレ期”の真っ只中で、毎年住宅地価は下落していましたから、消費増税とは関係なく価格を下げて販売できたという事情がありました。1998年以降、2003年まで新築マンション価格が毎年下がっているのがその証左です。したがって、1997年当時は「消費増税前は3%で購入できるからお得」との説明が可能で、1998年以降も「5%になった分、本体価格を引き下げたのでお得」と説明できましたから、結果的に首都圏では毎年9万戸前後の新築マンション大量供給が継続したのです。

1997年 消費税3%→5%改定時 2013年以降 消費税5%→8%→10%改定時
資産デフレ期:毎年住宅地価が5~7%程度下落
消費増税前「3%でオトク」→増税後「価格を下げたのでオトク」
地価下落によって価格を下げて分譲しても利益の確保が容易
地価安定期:住宅地価は首都圏中心部~近郊でほぼ横ばい
消費増税分の価格を転嫁しないと増税後に利益圧縮リスク
消費増税前の「住宅ローン減税バブル」訴求で供給拡大
マンション大量供給期:大手以外にも中小デべが多数分譲
首都圏で年間7万戸~10万戸(2000年)の大量供給で価格競争激化
マンション分譲エリアの絞り込み期:大手中心の寡占化
首都圏では年間5万戸超の供給→寡占化のため供給調整で対応
消費増税は1回&2%の引き上げ
低価格販売で需要を維持「資産デフレ型分譲&永住志向」
消費増税は2回&合計5%の引き上げ
高額マンションの需要強含みにより大手が都心分譲強化
湾岸エリアでは坪220~240万円で据え置き&大量供給
10年固定金利4%前後&民間変動金利は5%前後で推移
中古住宅へのローン(公庫融資)は最長で25年、概ね20年で実施
住宅ローン減税/超低金利/住宅購入目的贈与の非課税枠
最大400万円の減税期間を4年間継続
変動金利2.475%→提携ローンは軒並み1%を下回る実施金利
住宅購入のための贈与非課税枠1,000万円(+基礎控除110万円)
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