不動産購入、不動産売却は「三井住友トラスト不動産」

 9月19日に全国の基準地価（都道府県地価調査）の結果が公表されました。東京都や神奈川県など都市圏では2007～2008年のミニバブル期以来5年ぶりに上昇に転じるなど、地価は底打ち～上昇への過渡期を迎えているようですが、全国的に見ると下落している地域が圧倒的多数です。そこで今回は中古マンションの流通価格などの状況を都道府県別に比較し、その違いを考察しました。2012年7月→2013年1月→2013年7月と半年おきに比較した全国の都道府県別中古マンション流通動向ランキングです（データ協力：東京カンテイ ）。

 当然のことですが、東京都と神奈川県の中古マンション価格が全国的に見て非常に高い水準にあることには変化はありませんが、最新の2013年7月調査時点で目立つのが7位の島根県と8位の宮城県です。島根県は1,809万円で1月と比べて価格が下落していますが、全国的に一戸平均価格が下がる中で、順位は上昇しています。平均価格の水準は大阪府とほぼ同様で、千葉県や埼玉県よりも高い水準で流通しています。これは築年の若い物件が他県に比べて多く流通していることが影響しています。また宮城県の価格水準が高いのは、東日本大震災の影響で仙台市を中心により安心・安全な建築物であるマンションの需要が高まっていることによるものです。

 東京都は3期連続の1位となっています。坪単価も180万円を超えており、地方圏の新築マンションよりも高い水準で流通しています。坪単価の高さも際立っていますが、注目すべきは僅かながら坪単価の上昇傾向が見られることでしょう。基準地価とほぼ同様の結果が出ており、都市圏中心部での不動産価格上昇基調が明確です。また2位の神奈川県、3位の京都府も順位に変化がなく、地域ごとに中古マンション価格の相場観が自立的に決まっていることがわかります。宮城県では前述したように中古マンションの需要が高まっているにもかかわらず良質な物件の流通が限られていて坪単価も上昇しており、2013年7月の調査では81.0万円と8位に入っています。1月には74.2万円で11位とランク外でしたから上昇傾向が明らかです。

 全国で中古マンションの流通専有面積が最も広いのは佐賀県でした。2013年7月調査では平均79.70m²と80m²に迫っています。ちなみに佐賀県は平均坪単価が61.4万円で全国30位となっており“広く安く”流通しているようです。佐賀県も築年の浅い物件の流通が多く、戸建と競合するために80m²を超える広い物件が流通の中心となっています。高知県でも同様に70m²台を中心とした新しい物件が多く流通しています。
中古マンションの平均専有面積は、北海道を除くと西日本の県名ばかりが並んでおり、面積が広めのマンションは東日本よりも西日本に多いようです。

 このように、都道府県別に価格や広さなど、中古マンションの流通動向を見ていくと、首都圏や近畿圏などの都市圏以外でも数値が大きく変化している地域があることがわかります。宮城県のように東日本大震災の影響で強固な建物としてのマンションの評価が高まり、結果として需給が逼迫し、価格が上昇している県がある一方、高知県のように南海トラフ地震への対応策として津波などに強いと考えられるマンションにニーズが出るケースもあります。また、東京都や大阪府で見られる価格の上昇傾向は、中古マンションの価格が底を打ち、上昇に転じ始めたサインと理解できるでしょう。さらに、沖縄県や島根県の中古価格が首都圏の千葉県や埼玉県より高額で流通するなど、地域の人口集積度や事業集積度から考えても理解しにくいケースもあります。このように地方圏にも目を向けてみると、一律に理解していた地域ごとのマンション市場にも、比較的大きな違いがあることがわかります。マンションという住まいも地域ごとに特徴があるものなのです。