三大都市圏 中古マンションの竣工年別流通事例の分布は?
流通事例数は各都市圏で増加傾向、平均築年数は首都圏や中部圏で横ばい推移
不動産調査会社東京カンテイのマンションデータベースに登録された三大都市圏の中古流通事例数の推移を見ると、いずれの都市圏も2003年頃を境に最近にかけて増加する傾向にあり、首都圏では2008年に235061件、近畿圏では2009年に100491件と、それぞれ大台を突破しました。2010年の年間流通事例数は、1~6月の事例数を基に算出するといずれも2009年の水準をやや上回りそうです。一方、平均築年は首都圏で2007年以降、中部圏で2008年以降大きな変化がなく、この背景には築10~15年の比較的築浅な中古物件の増加が影響していることが考えられます。中古マンション市場は、リーマン・ショック後の新築マンション市場の縮小を受けて拡大基調にあるようです。
1995年以降に竣工したマンションから発生する事例が約半数を占める
さらに、三大都市圏における直近1年間(2009年8月~2010年7月)の中古流通事例を竣工年別に見ると、特に1995年以降に竣工したマンションから発生している事例が多いことがわかります。直近1年間での流通事例は340981件で、そのうち1995年以降に竣工したマンションからの流通事例は167335件(49.1%)と、ほぼ半数を占めています。一方、築30年を超えるマンションからの流通事例は54976件(16.1%)にとどまっています。
また、各都市圏の竣工年別分布状況を見ると、首都圏では1995年頃、中部圏では1990年頃を境として事例数の差が顕著になっています。中部圏ではバブルのピークであった1990年前後に主に静岡県でリゾートマンションが数多く竣工し、首都圏では1995年以降に新規分譲マンションの大量供給が始まっています。当時から10~15年経った現在、それらの物件が中古市場に登場して一定のボリュームを形成し、結果的に平均築年が進むのを抑制しているのです。
新規分譲マンションの大量供給は2000年代前半まで継続しましたので、今後数年間は築浅物件のシェアが拡大し続ける可能性が高いと考えられます。しかも、大量供給されていた当時は不動産デフレ局面で、新築マンションの供給先も郊外部から都市圏中心部へ回帰していました。
これらの点を考慮すると、立地優位性が高い築浅の中古マンションをお探しの方にとっては、物件の流通事例数が多いので、希望に適う価格と立地で物件を見つけられる可能性が高まっていると言えるでしょう。ただし、立地の良い中古マンションはここのところ流通価格が上昇する傾向にあります。地価が弱含みに推移している現状を考えれば、大底圏を脱する前に物件を見つけるためにも、早めに行動に移すことが大切です。
※データ提供:東京カンテイ