全国における新築・中古マンションの「買いやすさ」は?
新築・築10年中古マンション価格の年収倍率(2009年)
直近5年における年収倍率差(=新築-築10年中古)の推移
2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | |
首 都 圏 | 1.54 | 2.05 | 2.45 | 2.02 | 2.95 |
近 畿 圏 | 1.94 | 2.28 | 2.64 | 2.60 | 2.70 |
中 部 圏 | 1.53 | 1.87 | 2.19 | 2.05 | 2.20 |
全 国 | 1.58 | 1.79 | 1.93 | 2.02 | 2.12 |
「マンションの買いやすさ」を見る指標として、『マンション価格の年収倍率』があります。これはマンション価格を平均年収で割って倍率換算したもので、平均的な一般勤労者がマンション購入でどれだけの経済的負担を負うことになるのかを年収換算で示したものです。当然のことながら年収倍率が低いほど買いやすく、反対に数値が高いほど買いにくいことを意味します。
不動産調査会社東京カンテイが発表した2009年のマンション年収倍率によると、新築マンションの全国平均は0.02ポイント縮小して6.00倍と5年ぶりに縮小に転じましたが、依然として高い水準に留まっています。首都圏や近畿圏などでは、マンション価格が比較的高いために全国平均を上回る水準となっており、新築マンションを買いにくいエリアとなっているようです。年収倍率の高さランキングを見ても、第1位の東京都(10.02倍)、第2位の神奈川県(8.82倍)、第3位の京都府(8.65倍)など、都市圏内のエリアが上位にランクインしています。また、年収倍率が低いエリアを見ると、佐賀県(4.08倍)、山梨県(4.17倍)、石川県(4.29倍)など、比較的手頃な価格でマンションが供給されている地方圏が目立ちます。
一方、築10年中古マンションの全国平均年収倍率は0.12ポイント縮小して3.88倍となっており、直近の5年間では概ね4倍弱での推移が続いています。前述の東京都など都市圏での年収倍率は新築と同様に比較的高めですが、その他のエリアでは総じて3~4倍程度となっており、新築・中古の年収倍率が漸近している長野県や沖縄県を除けば中古マンションの方が買いやすい状況にあると言えます。
また、直近5年における新築・中古マンション年収倍率の差の推移を見ると、全国的に拡大傾向で、特に首都圏や近畿圏では顕著となっています。これは中古の年収倍率が比較的安定した推移を示しているのに対して、新築の年収倍率がマンション価格の上昇に伴って拡大していたことが要因であると考えられます。近年、マンション購入希望者の中には中古物件も検討するケースが増えてきているようですが、新規供給物件が減少したことに加え、上述のように新築マンションに手が届きにくい状況が中古マンションへのシフトを後押ししている背景として窺えます。
マンション購入を検討する際には、マンション価格のトレンドを見てタイミングを計ることも大切ですが、現在のように景況感が不透明で年収の上昇が期待しにくい状況下では、マンション購入でどれだけの経済的負担を負い、またその負担の度合い(=年収倍率)が直近に比べてどのくらい高いのか、また低いのかを把握しておくことも必要です。
※データ提供:東京カンテイ