地域別の中古マンション流通物件数シェアランキング2013年版その2
~近畿圏・愛知県・福岡県で流通件数の多い地域の変遷を見ると・・・
前回は首都圏を取り上げましたが、今回は近畿圏と愛知県・福岡県を見てみましょう。
近畿圏では近年、タワーマンションの供給が盛んで、これが2013年の中古マンションの流通にも影響しており、エリアに変化が出ています。実際に中古マンション市場で流通している件数に地域的な偏りがあるのかを、いつものように東京カンテイのデータ協力を得て、中古マンションの流通事例数をシェアで比較しました。
2003年、2008年、2012年と2013年のランキングがどのような顔ぶれになっているのかを調査して、マンション流通の地域的な変化を確かめます。
大阪府:北摂から大阪市中心部へとマンション流通の中心地が移動
2003年には大阪市の北側、吹田市、豊中市、茨木市、箕面市など「北摂」の行政区がベスト10の多くを占めており、大阪市内は3区に留まっていました。しかし、2008年には大阪市が6区に増加し、2012年には北摂2市、大阪市7区、2013年には北摂3市、大阪市6区となって、大阪市内での中古マンション流通が2008年以降活性化していることがわかります。
ただし、1位と2位は北摂の豊中市、吹田市で占められており、シェアの低下は見られるものの、中古マンションが数多く流通している状況に変わりがありません。2013年には大阪市の中でも、4位中央区(5.19%)、6位北区(3.40%)、8位西区(3.39%)、10位天王寺区(2.52%)と大阪市中心部の行政区が上位を占めています。これは大規模な再開発やタワーマンションの分譲によって急速に“住宅地化”したことが要因です。
兵庫県:西宮市が1位譲らず 神戸市の中心区が上位に進出
兵庫県では西宮市が4ヵ年全て1位となっています。シェアも12~13%を維持しており、同市は兵庫県における中古マンション流通の中心となっていることが明らかです。また尼崎市も2003年5位(7.87%)、2008年3位(8.22%)、2012年3位(9.63%)、2013年3位(10.15%)と常に上位に登場しており、中古マンション流通が活発な地域です。
神戸市内では東灘区が2003年3位、2008年2位、2012年2位、2013年2位と推移しており、シェアも拡大して西宮市に肉薄しています。また中央区は2003年にはベスト10圏外でしたが、2008年には4位(7.47%)、2012年4位(8.56%)、2013年も4位(8.43%)と2008年以降上位に定着しました。対照的に、神戸市西区は2003年に10位でしたが、以降姿を消しています。
京都府:入れ替えがあったのは2区のみ 最も動きの少ないエリア
京都府は地域内での中古マンション流通が限られていて、近畿圏で最も動きの少ない地域と言えるでしょう。そんな中でも2003年のランキングから西京区と宇治市が圏外に後退し、変わって東山区と北区がランキングに入っています。1位は伏見区と中京区どちらかで、両区のシェアの差は年々縮小しています。更に、2013年3位の下京区がシェアを拡大させており、2位に肉薄しています。従来の“二強”から“三つどもえ”の様相です。変化の乏しい京都府でも2003年と2013年の順位を比較すると、京都市中心部でのシェア拡大が見られます。京都市中京区、下京区など中心行政区の多くは2013年には2003年よりもシェアが拡大しており、中古マンションの流通が中心部で活性化していることがわかります。
愛知県:名古屋市の上位にランクインする行政区はほぼ固定化
愛知県ではもともと名古屋市中心部の千種区と中区の流通シェアが高く、2003年、2008年、2012年、2013年ともにベスト3に登場しています。また、岡崎市が2003年4位(5.38%)、2008年3位(5.16%)、2012年6位(4.43%)、2013年4位(4.72%)と常に上位にランクインしているように、愛知県の上位10位の中には名古屋市以外の地域、特にトヨタ自動車のホームタウンである西三河地区の行政区がランクインするという特徴があります。名古屋市ではマンションストックの多い千種区、中区、東区、昭和区、天白区や名東区は常に上位にランクされており中古流通が活発です。郊外地域の入れ替えはあっても名古屋市中心区の顔ぶれはほぼ変化がありません。
福岡県:上位4位は福岡市の中心行政区が独占
福岡県ではやはり圧倒的に福岡市の中古流通が活性化していて、同市の全7区が全ての年にランクインしています。特に福岡市中央区は4ヵ年全て1位となり、2位を大きく引き離して圧倒的なシェアを維持しています。2012年には18.89%、2013年には17.28%に達し、福岡県の中古マンション事例の約2割を中央区が占めている計算です。また、博多区、南区、東区も常に高いシェアを維持し、中央区を含めこれら4区が上位を独占しています。4区のシェア合計は2012年には49.45%と約半数に達し、2013年も46.61%と、同県の中古マンション流通はこれら4区が中心で、今後も大きく変わることはないと考えられます。
近畿圏、愛知県、福岡県の中古マンション流通シェアの変遷を見ると、大阪市、神戸市、京都市では各中心部に中古流通事例が集中し、シェアが高まる傾向が明らかになりました。
名古屋市や福岡市も同様で、これら各中心部の行政区は例外なく新築マンションの供給中心地でもあり、当然のことながらその新築マンションから後年発生する中古物件の流通が増加し、結果的にシェアも高く維持されるということです。
東京以外の都市圏でもマンション供給と流通の“都心集中”が発生しているようです。
※データ提供:東京カンテイ