中古マンションはやっぱり築浅物件ほど売れやすい?
これまで「不動産マーケット情報」では、築10年前後の物件が中古マンション市場で多くのシェアを占めていることに触れてきましたが、今回も築年数に着目し、築年によって中古マンションの売出価格と成約価格にどの程度の差がつくのか、また成約までの期間に違いがあるのかを、都市圏ごとに比較分析してみました。
上記のグラフは不動産調査会社東京カンテイのマンションデータベースに登録された直近10年間での中古マンション成約事例とその基になった売出事例から算出した売出→成約の価格乖離率および期間を示したものです。ここでの価格乖離率の算出式は以下のとおりで、「成約価格と売出価格にはどのくらいの差が生じているか」を意味しています。
価格乖離率(%)=(成約価格-売出価格)÷ 売出価格 × 100
なお、集計では価格乖離率が正(成約価格の方が高い)の場合や売買期間が12ヵ月を超える場合などの稀な事例は除外しています。
まず、価格乖離率を見てみると、都市圏や築年数の違いによる特徴が見受けられます。各都市圏の平均価格乖離率は首都圏(-7.21%)<近畿圏(-7.72%)<中部圏(-8.22%)の順に大きくなっています。また、築年数別の価格乖離率を見てみると、いずれの都市圏においても築10年以内では圏域平均よりも小さくなっています。これら築浅物件は新築物件と比べて割安感もあり、また駅近や都心寄りなど良好な立地である場合も多く、供給戸数が低迷している新築物件に替わりマンション購入者のニーズの受け皿となっていることから、築古物件と比べてあまり価格を下げずに成約に至っていると考えられます。一方、築古物件の価格乖離率は築年数に比例して大きくなる傾向にあります。首都圏では築浅・築古の違いはあまり大きくありませんが近畿圏や中部圏ではその傾向が明確ですので、短期間で成約させるためにはある程度価格を調整する必要があると言えるでしょう。
次に、売出→成約までの期間を見てみると、都市圏や築年数に関わらず概ね 3 ヵ月程度となっていることがわかります。各属性の中には売出から数日で成約するケースや半年以上かかるケースもありますが、平均では専任媒介契約や専属専任媒介契約の契約有効期間である 3 ヵ月以内に収まっているようです。
一般に、マンションの仲介会社は相場価格を査定し、売主の了解を得てそれを市場に出すわけですが、その相場価格は中古マンションの築年数や立地条件など様々な属性を加味して算出しているため、結果的には成約価格および期間との大きな差が発生していないことがわかります。ただし築年数が進んでいる物件は、立地によっては買主が見つかりにくいということもあり、やや成約までの期間が長くなって相応に価格も下がる傾向があるようです。
※データ提供:東京カンテイ