中古マンション専有面積動向 2016年6月
~中古マンションの専有面積もスモールサイズ傾向が~
6月の記事では首都圏の中古マンションの平均専有面積の変化についてご紹介いたします。
今回も集計期間は前回(中古マンション市場における流通戸数と価格改定の最新動向 2015年12月)と同様に2015年1月~2015年12までの1年間に中古流通した中古マンション戸数(売事例)を圏域ごとに集計、どの専有面積帯の流通戸数が多くなっているのかを、今回も東京カンテイのデータを使って見てみましょう。
【集計の方法】
集計対象:中古マンション。
集計期間:2005年1月~2015年12月の10年間(中古データはすべて売事例)
単 位:面積は平米
首都圏
首都圏の中古マンションの平均専有面積は10年前は63.77平米でした。2015年には61.93平米に縮小しており、縮小率は2.9%となっています。しかし、中古マンションの平均専有面積は首都圏全都県で縮小している訳ではなく、千葉県は10年前と比較して0.7%拡大しており、埼玉県も同様に0.4%拡大しています。縮小しているのは東京都と神奈川県だけなのです。
平均専有面積が最も大きく変化したのが東京都で2005年は59.62平米と僅かに60平米を切る水準でしたが、2015年は56.47平米と50平米台半ばまで縮小しています。10年間で5.3%縮小したことになります。このような専有面積の縮小は価格の上昇と無関係ではありません。2007年~2008年にかけて起こったミニバブル時代に同様に専有面積の縮小の時期が見られます。価格が高くなると専有面積が比較的狭い物件を探し、極力一戸のグロスの金額を抑えようとする心理が消費者側に働くものと考えられます。
神奈川県でも10年で1.8%の縮小が起こっています。
一方、新築マンションでも近年縮小が顕著で、同じ期間で見ると首都圏全域で12.4%も縮小し、70.86平米が62.07平米に大きく変化しています。東京都は9.6%、神奈川県は15.3%、千葉県でも8.5%、埼玉県も5.0%それぞれ縮小しました。縮小幅は中古の比ではありません。もともと値がはる新築マンションほどグロス金額を安くしたいという心理が働くことは想像に難くありません。
ではどのような面積帯の物件が流通量を増やしているのでしょうか。当然平均専有面積が縮小してるのですから、狭めの住戸がより流通するようになっているはずです。ここ専有面積帯シェアの推移(流通戸数ベース)が2005年から掲出してあるグラフがあります。これを見るとこの10年間でどの専有面積帯が多く流通するようになり、どの専有面積帯が減ったのかがわかります。
1年の変化は微妙ですが、過去の価格高騰期の2007~2008年には専有面積が狭い物件が多く流通するようなシフトが起こっていたことがわかります。しかし全体的には30平米未満のシェアが年々拡大すると同時に、広めの専有面積帯、70平米台、80平米以上100平米未満が少しずつシェアを伸ばしていることもわかります。つまり狭い物件だけでなく、広い物件も同時に市場で流通するようになってきているのです。対照的にシェアが縮小しているのが50平米台と60平米台ということになります。
もともと30平米未満のシェアが大きい東京都で専有面積が縮小している一方で、広めのマンションが多い千葉県と埼玉県の専有面積がむしろ広くなっていることもこのことから説明できます。千葉県、埼玉県では依然として専有面積が70平米を超える広い中古マンションの主な供給源であるのです。
※データ提供:東京カンテイ