中古マンションのリセールバリュー 駅別徹底比較!
2011年末に「中古マンションのリセールバリューって何で決まるの?」というテーマで、 “今売ったらいくらで売れるか”は価格の問題でも、買った時の価格と比較すれば価値の問題になるので、買う時から売ることを想定して不動産購入を検討することがリセールバリュー=資産価値を意識した買い方であり、現在販売されている「価格」が同じであっても、将来想定される「価値」は同じとは限らない、とお伝えしたところ“他にもリセールバリューの要素はあるのか”“立地についての違いはあるか”“住み心地はリセールバリューに反映されないのか”など多数の質問をいただきましたので、今回は続編として、マンションの属性の違いによるリセールバリューではなく、マンションの立地の違いによるリセールバリューについてご説明します。
まず、リセールバリューの考え方を確認しましょう。リセールバリューとは、築10年経ったマンションが分譲当時の価格からどの程度変化しているのかを調べてその変動率を示したものです。このリセールバリューは大きく分けて4つの要因で決まっています。最初は「広域立地」=都心やその周辺にマンションがあるのか、郊外にあるのかという違いです。マンションは不動産ですから、実は属性よりも立地に関する要因が大きなウエイトを占めています。実感値としては約60%が「広域立地」で決まります。その次が「狭域立地」=最寄駅に近いかどうか、です。あまり近くても繁華性が高く落ち着いて居住できないというケースはありますが、一般に駅に近いことは生活利便性の良さにもつながるので、約30%のウエイトを占めていると考えられています。つまり立地だけでリセールバリューのほとんどが決まってしまうのです。
残りの10%は「物件のスペック」および「住戸の個別性」です。これは公園に面していて借景&日当たりが良いとか、大規模マンションで共用施設が充実しているとか、仕様が高く居住快適性に優れているとか、住戸に専用庭やルーフバルコニーが設置されているなどのマンションの“個性”によるものです。したがって、例えば専有面積が広くてルーフバルコニーもあり、そのマンションの中で最も条件に恵まれた住戸であっても、都心から2時間で最寄駅からも徒歩20分かかるという物件のリセールバリューは高くはなりません。マンションは不動産=動かすことのできない財産であるが故に、立地条件が極めて重要であることを意識して下さい。住み心地=居住快適性もリセールバリューに反映されますが、残念ながらそのウエイトはそれほど高くはないのです。
これらのことを前提に三大都市圏の駅ごとにリセールバリューを算出したのが、以下の一覧表です。首都圏と近畿圏で分譲当時の価格(坪単価)によって表を区分しているのは、10年という歳月が経過するうちに、新駅や大きなショッピングセンターができたり、電車の相互乗り入れによって利便性が向上したりというケースがあり、分譲価格だけでは価値が決まらないためです。ここでも価格と価値は似て非なるものであることがわかります。
首都圏で分譲時の坪単価が200万円以上の駅では、「神保町」「九段下」「恵比寿」「茗荷谷」「青山一丁目」など都心の住宅地として人気の高いエリア、「代々木上原」「下北沢」「学芸大学」など都心に隣接した交通利便性の良いエリア、「月島」「門前仲町」「八丁堀」「人形町」などの下町エリア、などが上位にランキングされています。いずれも立地条件としての交通利便性、生活利便性が確保されているだけでなく、居住快適性などもバランス良く整っていることがリセールバリュー=資産価値を高く保っている要因でしょう。
また、坪単価が200万円未満の駅でも、「東雲」「潮見」などの湾岸再開発エリア、「元町・中華街」「関内」「横浜」「日吉」などの神奈川県中心部のように交通利便性と価格のバランスが良いエリアが並び、「五反野」「本厚木」「京成大久保」など郊外に位置していても都心へのアクセスが良い駅が登場しています。エリアのコストパフォーマンスが良好であることが上位にランクされるポイントとなっていることがわかります。
近畿圏で 分譲時の坪単価が 150 万円以上の駅では、「烏丸御池」「北大路」「蹴上」「国際会館」「修学院」など京都市中心部、「心斎橋」「南森町」「大阪天満宮」「天王寺」などの大阪市中心部、「三ノ宮」「西宮北口」「芦屋川」「武庫之荘」「芦屋」など阪神間の人気住宅地が上位に登場しています。好みの問題もありますが、交通利便性と居住快適性が確保されているエリアはリセールバリューも高いということが明確です。
坪単価が 150 万円未満の駅でも、「烏丸」「二条」「五条」「今出川」などの京都市中心部、「中之島」「西長堀」「中津」「福島」など大阪市中心部の商業地エリア、「北伊丹」「中山寺」「三国」「千里丘」など北摂エリアが登場しており、首都圏同様に交通利便性の高さを根拠としたコストパフォーマンションの良さがリセールバリューに直結しています。
中部圏でもその傾向は首都圏・近畿圏と同じです。分譲当時の価格に大きな差がないので、一つの表で掲出しました。「今池」「金山」「赤池」「池下」「久屋大通」など名古屋市中心部の商業地、「覚王山」「上社」「名古屋大学」「茶屋ヶ坂」「星ヶ丘」「藤が丘」などの人気の高い住宅地があるエリアが上位に登場し、職住近接の生活が実現可能なエリア、もしくは以前から住宅地として発展してきた名古屋市東部エリアのリセールバリューが良好です。やはり交通と生活利便性の良さは資産性にも反映されているのです。
これらに共通するのは、いずれのエリアでも人気の高い住宅地があったり、交通利便性が良く通勤・通学の便が良いエリアであったり、再開発が進んで生活利便性が向上したりしている駅が上位に並んでいるという事実です。東京や大阪では頻繁に“住んでみたい街ランキング”などの人気投票結果が発表されていますが、便利&快適に暮らしていけそうなイメージがあるエリアが毎年上位にランキングされているわけですから、リセールバリューの一覧と共通する駅も結果的にたくさん登場してくるのです。人気ランキングとの決定的な違いは、この表がリセールバリュー=資産価値の結果を示しているということです。
単にマンションの価格が高いか安いかではなく、価値が高いエリアで自分の条件に適ったマンションを購入することで、その後の生活における経済的な側面を担保してくれる可能性が高まります。物件を選ぶ際に“なぜこのマンションはこの価格で販売されているのか”という価格の根拠を考えることが、資産価値の高いマンションを購入するための第一歩なのです。
※データ提供:東京カンテイ