不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報不動産マーケット情報2011年 中古マンション市場が活性化した駅は?(2012年1月号)

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2012年1月号

不動産市況や業界動向などの旬な情報を記載したコラムです。

2011年 中古マンション市場が活性化した駅は?

~三大都市圏駅別流通事例数増加ランキングでみる2011年の中古マンション市場総括

首都圏は都心~近郊の交通至便エリアで事例数が増加

 首都圏では、震災前の2011年初頭は新築マンションの供給が増加したため、中古マンション坪単価が下落して価格にやや値頃感が出ていました。そのため、交通利便性の高い都心~近郊を中心に流通事例数が増加した駅が目立ちます。JR山手線では5駅が上位に入っていますが、「池袋」を除けば2010年より価格が5%程度下がっており、買いやすさが増して流通が活性化したものと見られます。
 また、2位の「川崎」、4位の「豊洲」、11位の「武蔵小杉」など都内の主要ターミナル駅に直結し、しかも近年大規模開発が行われた駅が入っています。このような駅では新築マンションの大量供給の数年後に中古市場が活性化する傾向があり、まさにその代表と言える駅が並んでいます。
 さらに、7位の「北千住」、19位の「南千住」など、周辺エリアの大規模開発によって流通が大きく増加した駅も見られます。これらの駅では平均坪単価が上昇しており、開発によって地域のポテンシャル(利便性や利用価値)が上がり、人を呼び込むことに成功した例と言えます。いずれにしても2011年の中古市場は交通利便性の良否が重視された1年だったと言えるでしょう。

近畿圏では北摂と阪神間で流通が活性化

 近畿圏全体の中古流通事例数は2010年の134,543件から140,236件に6,000戸程度増加しました。首都圏ほど顕著ではありませんが、近畿圏の中古市場も流通が活発化しています。特に流通事例が大きく増加した上位20駅は、概ね北摂と阪神間の地域に集中しています。これらの地域はもともと近畿圏における住宅地として人気が高く、住宅需要も常に高いエリアですが、掲出された駅の多くは平均坪単価が3~5%程度下落しており、価格が下がったことによって割安感が高まったことも一因と言えます。千里ニュータウンの建て替え再開発事業により、「千里中央」、「千里丘」、「山田」などでは若干価格が上昇していますが、他のエリアでは坪単価が下落しています。近年超高層タワー物件が数多く供給された大阪市内の駅はほとんど上位に入っていませんが、大阪市中心部では4位に「北浜」、14位に「四天王寺前夕陽ヶ丘」がランクインしています。

中部圏でも名古屋市中心部&周辺エリアで事例数が増加

 中部圏では、首都圏と同様に名古屋市中心部とその周辺の駅で流通事例が増加しており、郊外の流通は沈静化してしまっています。2011年は「金山」「大須観音」「八事」「池下」「鶴舞」「高蔵寺」など、名古屋市中心部の住宅地で流通増加駅が多く、「藤が丘」「日進」「星ヶ丘」など周辺地域の駅もランキング上位に入っています。
 岐阜県および三重県の駅はほとんど上位には入っておらず、岐阜県「大垣」の28位が愛知県以外では最も高い順位になっています。他の圏域と同様に多くの駅では平均坪単価が前年比で下落していて、「大曽根」や「原」では7%以上の下落となっていますが、相応に価格が低くなって“お買い得感”が上昇したことによって、中古マンション流通事例数は大きく増加しています。中部圏全体では2010年は34,635件でしたが2011年は39,822件と昨年から5,000件増加しています。近畿圏の4分の1の流通件数に留まっている中部圏が近畿圏とほぼ匹敵するほどの流通増加を示したことは注目に値します。

 これらの結果から、2011年の中古マンション市場は、いずれの圏域でも利便性の良いエリアでやや価格が下落し、その価格下落エリアで流通件数が増加する傾向にあることがわかりました。つまり、長引く景気の先行き不透明感からマンションという高額消費においても“少しでも安く&お得に買いたい”という意向が明確になり始めているのです。特に首都圏ではその傾向が顕著で、人気の住宅地や通勤至便の好立地駅で流通件数が特に増加しています。震災の影響で新築マンションの供給が計画通りに進まず、依然として首都圏では50,000戸程度の新規供給に留まる中、2012年も比較的安価で、駅近にも豊富にある中古マンションの流通市場は安定的に拡大するものと考えられます。震災後に登場した“巣ごもり消費”という言葉に象徴される、賢く効率的に買い物をしたいという意向はマンションにおいても当て嵌まるのかも知れません。

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