相続の税務や贈与について、遺産を分割する場合に注意すべきこと、法人税など他の税法との関連、税務署の調査官の考え方などにも言及した実務アドバイスです。
令和4年分路線価公表迫る!!「土地の評価 基礎の基礎」
令和4年分「路線価」が間もなく発表になります。
毎年7月1日ごろに国税庁ホームページに「財産評価基準書」が更新して掲載されます。
「令和4年分財産評価基準」の主な内容は、路線価図及び評価倍率表です。
令和4年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は、贈与により取得した財産を評価する場合に適用します。(原則)
〇土地関係の評価方式は、路線価方式と倍率方式があります。
1. 路線価方式…路線ごとに付された路線価を基に土地の形状により補正率等で調整して評価する方法です。市街地など、同じ地域のなかでも、道路幅や土地の形状、都市計画などの違いから各画地の平米単価に差が生じる地域と言えるでしょう。
路線価図は道路だけの地図で、道路上に金額(千円単位)で表示されています。
例えば
と表示されていれば、この矢印の部分の道路に面している土地の路線価は、1㎡が100,000円ということです。
最後のアルファベットは借地権割合を表しています。Dの場合は借地権60%、底地40%の割合であることを意味しています。
この路線価を基準として、その土地ごとの形状や利用状況などに着目・調整して、評価をしていきます。
なお、1画地の宅地ごとに評価しますが、1画地とは利用単位のことで、必ずしも登記上の1筆とは限らず2筆以上のこともありますし、1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もあります。同じ1筆の土地の上に自宅とアパートがある場合などは分けて評価します。
一般的には、路線価評価のほうが計算は煩雑となります。
また、行き止まりの道路や新設の道路などのため、路線価が表示されていないケースがあります。相続や贈与の申告をする場合には、税務署に別途申請して「特定路線価」を設定してもらう手続きが必要なこともあります。
2. 倍率方式…固定資産税評価額に地域ごとに定められた倍率を乗じて評価する方式です。郊外の住宅地や村落など、比較的土地ごとの個別要因による価格の影響が少ない地域となります。
路線価図の上では「倍率地域」と表示されます。近隣がすべて「倍率地域」の場合は路線価図が無い場合もありますが、慌てずに評価倍率表を見てみましょう。
評価倍率表でその地域の地目ごとの倍率を調べ、固定資産税評価額に掛け合わせることで比較的平易に計算することができます。
〇ただし、別段の定めのあるものや別に通達があるものについては例外となります。
前号でご紹介したタワーマンションの評価などは上記1の路線価方式での評価方法ではなく、例外とされたわけです。
時価(個々の土地の判定は煩雑・困難)⇒評価額(路線価など通達のルールに従って算出)を時価とみなす⇒時価(路線価評価では、課税上弊害がある場合など)と、いわば原則の原則に戻るよう判示されました。