居留地の道路は建設当初から車道と歩道に分けられ、街灯が配置された。さらに、地下には下水道も設置された。居留地南端にある「海岸通」には、遊歩道を兼ねた緑地帯が設けられた。この遊歩道を外国の婦人たちは着飾って散歩し、外国艦隊に搭乗していた軍楽隊が、「海岸通」や居留地内の公園で演奏を披露したという。開港当初、日本人は居留地に自由に出入りすることはできなかったため、洋館を眺めることのできる「海岸通」に集まった。
神戸の外国人居留地として用意された土地は、砂地の湿地帯であった。この居留地の設計を任されたのは、イギリス人技師J.W.ハート。彼は居留地を、22のブロック、126の区画へと整然と区割りを進め、道路を設計した。完成後、東洋の居留地の中で最も美しい街と評価された。