「稲荷山」の参道に美しい鳥居が並ぶ風景が有名な「伏見稲荷大社」。全国に3万社あるといわれる稲荷神社(お稲荷さん)の総本宮で、商売繁盛、五穀豊穣の神様として信仰を集める。創建は711(和同4)年で、深草(ふかくさ)の地に住み着いた渡来人の秦氏が稲荷神を奉鎮したのが始まりとされる。御祭神は、下社が「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」、中社が「佐田彦大神(さたひこのおおかみ)」、上社が「大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)」となる。
「平安京」の外にあたる桂と伏見には、自然に恵まれた環境から、都に住む皇族、貴族が別荘を構えた歴史がある。伏見には、豊臣秀吉が「伏見城」を築き、桂には「八条宮家」の別荘である「桂離宮」が造営された。また、江戸時代、伏見では京都と大坂を結ぶ舟運の中継点として、「三十石船」などが発着する「伏見港」が栄え、酒どころとしても知られるようになった。明治時代に入ると、「琵琶湖疏水」、京都電気鉄道が伏見に至り、その後、京阪電気鉄道が開通し、昭和初期には奈良電気鉄道(現・近鉄)が開通した。一方、桂には同時期に、新京阪鉄道(現・阪急)の駅が誕生。戦後は、「洛西ニュータウン」など、京都市南西部にベッドタウンが誕生した。