神戸市から芦屋市・西宮市の北側に広がる「六甲山地」は、緑の豊かな山であり、山から流れ出る、豊かな湧水の存在は御影や魚崎などの酒造りの里を育んだ。写真は昭和前期の「六甲山最高峰」付近の様子。「六甲山地」は中世に城が築かれ合戦の舞台にもなった。人の手が入るようになると、戦火や山火事、森林伐採などで自然林が荒廃、近世には草木のない山となり、集中豪雨などで地表の崩壊も進んだ。1902(明治35)年以降に植林・砂防工事が進められ、現在は自然豊かな山へ回復している。
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神戸市東灘区・芦屋市一帯は、北に「六甲山地」、南に「大阪湾」を控え、海と山の幸に富んだ温暖で豊かな場所。古くは農業や漁業に従事する人々が暮らし、平安時代には貴族・皇族の別荘地であったともいわれる。江戸時代からは全国に名高い清酒の産地となった。また、大阪・神戸の中心部に近いことから、阪神間の鉄道開業後は、実業家らが移り住む住宅地となり、住吉・御影・芦屋といった地域は日本を代表する高級住宅地として発展した。この地には、大正・昭和前期を中心に独自の文化が花開き、現在ではその時代の文化や建造物は『阪神間モダニズム』と呼ばれ、その価値は高く評価されている。