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柏市の誕生

1954(昭和29)年4月、千葉県は東葛飾郡のうち、柏町・田中村・土村・小金町を合併する案を策定。これを受け、町村合併協議会が設置され、同年7月、各町村は合併を議決し、同年9月に東葛市が誕生。市役所は旧「柏町役場」庁舎に置かれた。しかし、旧・小金町住民の多くは、松戸市への合併を強く主張していたため、県の調停の結果、同年10月に東葛市から抜け、松戸市へ編入となった。翌11月1日には、当初、合併に加わらなかった富勢村が分村の上、東葛市と我孫子町への合併も行われた。小金町が抜けたことで、市民から東葛市という名称に疑問が持たれるようになった。当時、既に地域の中心として発展していた柏の名を冠することを要望する住民が多かったことから、1954(昭和29)年11月15日、市名が変更となり柏市が誕生した。


柏市誕生当時の「柏市役所」 MAP __

1954(昭和29)年の柏市誕生の当時、市役所庁舎は現在の「イトーヨーカドー」の駐車場のあたりにあった。「柏町役場」から「東葛市役所」を経て引き継がれたもので、1965(昭和40)年に完成した現「柏市役所 第一庁舎」へ移転するまで、この庁舎が使用された。現在の「柏市役所 本庁舎」は、1982(昭和57)年に「柏市役所 第二庁舎」として完成した建物。【画像は1954(昭和29)年】

現在、かつての市役所の跡地には、「イトーヨーカドー 柏店」の「第1駐車場」と商業ビルがある。過去の写真に見える庁舎脇の木は現在も残り、大きく成長している。

柏市誕生を祝う大鳥居 MAP __

写真は柏市が誕生した際の、市を挙げての祝賀祭の風景。「水戸街道」では「八坂神社」(「天王様」)の前に、竹篭で柏市誕生を祝う大鳥居を作りあげた。神社の銀杏の木は枝を広げている。「八坂神社」は1977(昭和52)年以降、「柏神社」と呼ばれるようになっている。【画像は1954(昭和29)年】

写真は現在の「柏神社」と「旧水戸街道」の様子。境内の大銀杏は現在も残っている。

市制施行当時の「駅前通り」の商店街 MAP __

写真は1954(昭和29)年、市制施行で祝祭ムードの「駅前通り」で、正面方向が「柏駅」となる。左端の建物は「岩田屋旅館」で、「駅前通り」が「本町通り」(「旧水戸街道」)に突き当たる丁字路の角にあった。翌年の暮れに「本町通り」で「柏の大火」が発生、これを受け、「駅前通り」の商店街は防火建築へと姿を変えていく。【画像は1954(昭和29)年】

写真は現在の「駅前通り」。ここから駅までの区間は「柏駅前通り商店街」(愛称「ハウディーモール」)として賑わう。大火後に導入された防火設計の建物も、今ではほとんどが建て替えられた。ただ、すっかり変わって見える街並みにも、市制施行時以前から営業を続ける店がいくつか見られる。撮影地点付近はかつては丁字路(背面方向が行き止まり)であったが、1970年代に道路(都市計画道路の「柏駅前塚崎線」の一部)が開通、現在は十字路になった。「岩田屋旅館」は「岩田屋本町ビル」(写真左端のビル)としてその屋号を引き継いでいる。


代々の繁栄へ、願い込めて

「篠籠田特別緑地保全地区」

写真は「篠籠田特別緑地保全地区」で、2018(平成30)年に特別緑地保全地区として都市計画が決定された。この緑地内には江戸期にあった「小金牧」(「上野牧」)の野馬土手の遺構といわれる土手と窪みも残る。
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土地の名前をひもとくと、そこに歴史が見える。柏の街は、かしわの樹が多かったから「柏」となったわけではない。けれども、柏市の市の木は、その名前にちなみ、かしわの樹になっている。

英名ジャパニーズ・エンペラー・オーク。ブナ目ブナ科の落葉樹であるかしわの樹について、一番なじみ深い部分といえば、柏餅を包んでいるあの葉っぱだろう。落葉樹にもかかわらず新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「代が途切れぬ」といわれる縁起物。そうした思いもまた先人が付けたこの土地の名前に込められているにちがいない。

江戸期に馬の放牧が行われていた「小金牧」やその周辺の農村が、明治の御一新を経て、新たに都市として発展の道を歩み始めた。以来、それぞれの時代で異なった表情を見せてきた。

「柏駅」西口から1kmほど、篠籠田・明原付近までいくと、住宅街の中に大樹の茂る林が現れる。「今では木々を残した山や林もすっかり減ってしまって…」と昔を知る人は寂しげに言うが、若い人や市外から訪れる人にとってはきっと驚きの風景だろう。かつて柏の地にも緑あふれる風景があったことを知らせる掛け替えのない財産だ。

「柏」の中心部は、かつて千代田村という村名だった時期があり、現在も「千代田」は町名に残る。自分たちの土地に代々の繁栄を願う名前だ。「柏」にも、「千代田」にも、同じ思いが込められている。



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