戦後の高度成長期、茅ヶ崎は温和な気候の景勝地として、住宅地や観光地の開発が急速に進んでいった。1965(昭和40)年には、俳優の上原謙氏や加山雄三氏らが共同オーナーとなり、「国道134号」沿いに「パシフィックホテル茅ヶ崎」を建設した。設計は菊竹清訓氏で、客室が螺旋状に取り巻く斬新なデザインの外観であった。ドライブインのほか、ボウリング、プール、ビリヤードなどの娯楽施設、さらにはウインドサーフィンやジェットスキーのレンタルも行い、様々なレジャーを楽しむことができる先進的な海辺の高級リゾートホテルとして注目を浴びた。写真は1969(昭和44)年、「パシフィックホテル茅ヶ崎」から見た「茅ヶ崎海岸」。
話題性の高いホテルであったが、1970(昭和45)年、わずか5年で運営会社が倒産。ホテルは売却ののち、休業・再開を経て、1988(昭和63)年に廃業となった。跡地には1999(平成11)年にマンション「パシフィックガーデン茅ヶ崎」が建設された。なお、「パシフィックホテル茅ヶ崎」は、「サザンオールスターズ」が2000(平成12)年にリリースした楽曲『HOTEL PACIFIC』のモデルになっている。桑田佳祐氏はかつて、ホテルに併設されていたボウリング場でアルバイトをしていたという。