初めて不動産の売買契約を締結される方が売買契約書をご覧になった際などに参考にして頂けるよう、分かりやすい言葉、一般的に使われている言葉で、法律の基本的な事項を解説しています。
契約違反と損害賠償、解除、違約金等
一般的に、不動産について売買契約が成立すると、売主には不動産を買主に引渡し、登記を移転する義務が生じます。買主には代金を売主に支払う義務が生じます。
このような義務を履行しないと、契約違反(債務不履行)として、損害賠償の責任が発生するとともに、催告されても履行しない場合には契約を解除されてしまうことになります。
損害賠償とは、契約違反(債務不履行)により、契約の相手方に何らかの損害を与えてしまった場合に、その損害を金銭で賠償しなければならない責任です。
催告とは、契約の相手方が契約より発生する義務を履行しない場合に、その義務を履行するよう促すことです。相手方の契約違反(債務不履行)を理由に契約を解除する場合には、原則として相当な期間を定めて催告を行う必要があります。
売買契約が解除された場合、売主・買主それぞれに、契約締結前の原状に回復する義務が発生します。
買主は、売主に対し、不動産の引渡しを受けていればこれを返還し、登記がなされていれば抹消登記を行わなければなりません。
売主は、買主に対し、受領済みの金銭(手付金や代金など)を返還しなければなりません。
1. 違約金
「違約金」とは、契約において、契約違反(債務不履行)をした場合に支払うことを予め約束しておく金銭のことをいいます。違約金は、「損害賠償額の予定」である場合と、「違約罰」である場合があります。
2. 損害賠償額の予定
「損害賠償額の予定」とは、あらかじめ債務不履行の場合の損害賠償額を取り決めておくものです。ただし、予定賠償額が実損害と比較して著しく過大で公序良俗に反する場合等には、予定賠償額の請求が認められない場合があります。
3. 違約罰
「違約罰」とは、債務不履行に対する制裁であり、違約金の請求に加えて、実際に発生した損害についての損害賠償請求もできる場合等をいいます。
民法により、違約金は「損害賠償額の予定」と推定されることになります(ただしこの推定は反証を挙げて覆すことができます。)。そのため、違約金を「違約罰」の趣旨で取り決める場合には、契約書にその旨を明確に記載しておくべきです。
合意解除とは、売主と買主の合意によって売買契約の効力を消滅させることです。契約違反(債務不履行)がなくとも、また契約書の中に特に定めがなくても、当事者である売主と買主が合意さえすれば、いつでも可能です。「合意解約」ともいいます。