初めて不動産の売買契約を締結される方が売買契約書をご覧になった際などに参考にして頂けるよう、分かりやすい言葉、一般的に使われている言葉で、法律の基本的な事項を解説しています。
売買対象面積・測量・代金精算
土地の売買対象面積を特定するために測量する必要があるかどうかは、売買契約の内容によります。
例えば、売買契約において、売買対象面積を登記上の面積とし、測量を行わない旨を定めた場合には、登記上の面積が売買対象面積となり、測量をする必要はありません。
土地を測量した結果得られた面積(実測面積)と登記上の面積とが異なっていた場合に土地の売買代金がどうなるかは、売買契約の内容によります。
例えば、売買契約において、売買対象面積を登記上の面積とし、登記上の面積と実測面積との間に相違があったとしても、売買代金の清算を行わない旨を定めたような場合には、売買代金の清算を行うことは原則としてできません。
実測面積と登記上の面積とは一致しないことも多く、上記の例のように、売買対象面積をどのように決めるかということや、面積が相違した場合の売買代金の処理について、売買契約に定めておくことは重要です(【Q 土地の全部事項証明書の表題部にはどのようなことが記載されていますか。】参照)。
なお、2017年民法改正により、売主が物の種類・品質・数量に関して契約の内容に適合した目的物を引き渡すべき債務を負うことを前提に、不足分の引渡しによる履行の追完請求(民562条)、買主の代金減額請求権(民563条)、損害賠償請求(民564条)等が定められていますが、土地の面積不足等の場合に合意された面積を備える状態にすることは不可能ですので、不足分の追完請求することはできないと解されています。買主が特定の契約目的(特定の使用目的など)を売主に説明し、売主がその目的に適合するものとして土地の面積の表示をした場合や、「当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積等を売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた場合」(数量指示売買)のほか売買契約に適合しない数量しか引き渡さなかった場合は、代金減額請求(民563条)・損害賠償請求(民564条)が考えられます。