不動産の知識・税金の知識

知っておきたい
税金の基礎知識

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不動産の購入・売却時にかかる税金のポイントを、わかりやすくまとめました。

1.不動産の売却時における税金

3

事業用資産の買換え

(4)事業の範囲

 事業用資産の買換え特例は、譲渡資産、買換資産のいずれにも自己の「事業」の用に供するものでなければならないことになっています。自分でその土地に建物を建てて、そこで商売をしている、または事務所として利用している場合には、「事業」の用に供しているということになります。土地や建物を貸付けている場合、所得税法では、その規模によって「事業」と「業務」に区分されます。事業的規模とは、アパートでおおむね10室、独立の貸家ならおおむね5棟以上という「5棟10室基準」にて判断します。「5棟10室基準」に該当しない貸付けの「業務」であっても、「相当の対価を得ていること」「継続的に貸付けを行っていること」の条件を満たしていれば、事業に準じる一定のものとして特例の適用が受けられます。

(5)買換資産の土地等の面積制限

 買換資産として取得した土地等の面積が譲渡資産の土地等の面積の5倍を超える場合には、その超える部分の面積に相当する部分は買換資産に該当しません。

(6)買換資産の取得期限

 買換資産は次の期限内に取得することが必要です。

 先行取得した資産を買換資産とし特定の事業用資産の買換え特例の適用を受ける場合は、その先行取得した資産を取得した年の翌年3月15日までに所定の届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
※令和6年4月1日以後に資産の譲渡をして同日以後に買換資産の取得をする届出については、譲渡資産を譲渡した日または買換資産を取得した日のいずれか早い日の属する3月期間(その事業年度を事業年度開始の日以後3か月ごとに区切った各期間)の末日から2か月以内にこの特例の適用を受ける旨等を税務署に届け出ることが必要になります。この届出は、同一年中(同一事業年度)に譲渡資産の譲渡を行い、買換資産の取得をする場合に限ります。

(7)税額の計算

 買換え特例の適用を受けた場合の譲渡所得の金額は、譲渡資産の譲渡による収入金額と買換資産の取得価額との大小に応じて、次の算式により計算されます。

①譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額以下の場合

(譲渡資産の譲渡による収入金額 × 20%)-{(譲渡資産の取得費 + 譲渡費用)× 20%

②譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額を上回る場合

譲渡資産の譲渡による収入金額=A  買換資産の取得価額=B
(A - B × 80%)-{(譲渡資産の取得費 + 譲渡費用)×(A - B × 80%)÷ A }


※上記の課税割合(20%)および繰延割合(80%)は、譲渡資産が地域再生法第5条第4項第5号イに規定する集中地域※1以外の地域内に所在し、かつ、買換資産が次に掲げる地域内に所在するときは、それぞれ次に掲げる割合となります。また、令和6年4月1日以後に譲渡資産の譲渡をして同日以後に買換資産の取得をする場合で、東京都の特別区の区域から地域再生法の集中地域以外の地域へ本店又は主たる事務所の所在地の移転を伴う買換えをする場合には、課税割合は10%、繰延割合は90%となります。

※1 集中地域とは、平成30年4月1日における東京都の特別区の存する区域および武蔵野市の区域ならびに三鷹市、横浜市、川崎市および川口市の区域のうち首都圏整備法施行令別表に掲げる区域を除く区域等をいいます。
※2 令和6年4月1日以後に譲渡資産の譲渡をして同日以後に買換資産の取得をする場合で、本店又は主たる事務所の所在地の移転を伴う買換えのときは、課税割合は40%、繰延割合は60%となります。

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