2
居住用財産の譲渡
(1)3,000万円特別控除の特例
自分が住んでいる家屋等を譲渡した場合には、その譲渡所得から3,000万円を控除することができます。
①特例の適用が受けられる場合
3,000万円の特別控除が適用されるのは次の場合です。
- イ.
- 個人が現にその居住の用に供している家屋(以下「居住用家屋」といいます)を譲渡した場合
居住用家屋を2以上有する場合は、主として居住の用に供している一の家屋のみがこの特例の適用対象となります。 - ロ.
- 居住用家屋と共にその敷地となっている土地または借地権を譲渡した場合
この規定は土地等の所有者が家屋の所有者と同一であることを前提としていますので、家屋と土地の所有者が異なる場合は原則としてこの特例の適用を受けることはできません。
ただし、家屋の所有者と土地の所有者とが夫婦である場合などは、一定の要件を満たす場合には、土地の所有者である者についても、この特例の適用が認められることとされています。 - ハ.
- 自己の居住の用に供さなくなった家屋もしくはそれと共にその敷地となっていた土地または借地権を、これらの家屋を自己の居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合
- 二.
- 居住用家屋を取り壊した場合のその敷地で、次の要件に該当するものを譲渡した場合
a.敷地の譲渡に関する契約がその家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡していること
b.その家屋を取り壊した後譲渡に関する契約を締結した日まで、その敷地を貸付けその他の用に供していないこと
居住用家屋の敷地の一部の譲渡については、次のそれぞれの場合に応じ次のように定められています。
・居住の用に供されている(供していた)家屋の敷地の用に供されている土地等の一部の譲渡
a 家屋と同時に譲渡された時……特例の適用あり
b 家屋と同時に譲渡されなかった時……特例の適用なし
・災害により滅失(取壊しも含みます)した居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等の一部の譲渡……特例の適用あり
居住用家屋の敷地として使われている土地等を譲渡した場合でも、その家屋を取り壊さずに敷地のなかで移動させてできたスペースの譲渡については、その家屋が敷地内に残っているため、この特例の適用を受けることはできません。
②特例の適用が受けられない場合
前記①の要件を満たす場合であっても、次のいずれかに該当する場合は、この特例の適用は受けられません。
- イ.
- 譲受人が次の特殊関係者である場合
a.譲渡者の配偶者および直系血族
b.譲渡者と生計を一にする親族およびその居住用家屋に同居する親族
c.譲渡者と内縁関係にある者、その者と生計を一にしている親族
d.譲渡者から受け取る金銭等により生計を維持している者(使用人を除く)およびその者と生計を一にしている親族
e.譲渡者と特殊関係にある会社その他の法人 - ロ.
- 前年または前々年の譲渡所得について、この特例または居住用財産の買換え特例や居住用財産の譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例の適用を受けた場合
- ハ.
- 居住用財産の買換え・交換、収用等についての特例制度の適用を受ける場合
譲渡した資産が自己の居住用部分とそれ以外の事業用部分(店舗部分など)とから成る家屋およびその敷地の用に供されている土地等である場合には、それぞれの利用区分に応じて
居住用部分=居住用特例の適用対象
事業用部分=事業用特例の適用対象
となります。
③居住用家屋と認められない場合
次のような家屋は、居住用家屋には該当しません。
- イ.
- この特例の適用を受けるためのみの目的で入居したと認められる家屋
- ロ.
- 家屋の新築期間中だけの仮住まいである家屋その他一時的な目的で入居したと認められる家屋(譲渡した家屋における居住期間が短期間であっても、その家屋への入居目的が一時的なものでない場合には、居住用家屋として認められます)
- ハ.
- 主として、趣味、娯楽または保養の用に供する目的で有する家屋(別荘など)
④特別控除の額
この特例による控除額は次の金額のうちいずれか小さい金額です。
- イ.
- その居住用財産に係る譲渡所得の金額
- ロ.
- 3,000万円
⑤譲渡所得の金額の計算
譲渡所得の金額は、次の算式によって計算します。
収入金額-(取得費 + 譲渡費用)= 長期(短期)譲渡所得の金額
長期(短期)譲渡所得の金額 - 特別控除額(3,000万円)= 課税長期(短期)譲渡所得金額
この特別控除額を差し引いた結果、譲渡所得の金額がなくなる場合であっても、この特例の適用を受けるためには、必ず確定申告書を提出しなければなりません。
本コンテンツの内容について
本コンテンツの内容は、2024年4月1日に施行されている法令に基づき作成しており、今後変更される可能性があります。本コンテンツは不動産の売買を検討される方々の参考となる不動産に関する税金の概略を説明するものであり、本コンテンツを利用してなされた個々の取引について弊社は何ら責任を負うものではありません。