不動産登記は、不動産に関連する法律行為には欠かせないものです。日頃一般の皆様が疑問に思われていること、また、登記手続きをする際に誰しもがぶつかると思われる疑問について解説しています。
【参考】定期借家制度について
従来の借家契約(普通借家契約)では、正当な事由がない限り、貸主から契約の更新拒絶ができないものとなっていますが、定期借家契約は、契約で定めた期間が過ぎれば、更新されることなく借家契約が終了します。
定期借家により、契約期間・収益見通しが明確になり、経済状況にあった借家経営が可能となります。
また、定期借家契約の場合、期間が満了しても借家人がそのまま借り続けたい場合は、再度契約することになりますが、そのときの経済情勢や家賃相場などを調査して、適正価格での再契約を検討することができます。
借主にとっては、そこに住み続けたくても契約更新できないデメリットがあるので、借り手がつかないことを避けるため通常の家賃相場より下げたりする場合や礼金を不要とする場合などがあり、このような場合はメリットがあると考えられます。
普通借家と比べて、手続きが煩雑なことが挙げられます。契約には適正に作成された書面などが必要で、期間満了の通知などが必要となります。
そこに住み続けたくても、契約更新できないというデメリットがありますし、期間満了後に貸主との合意により再契約により住み続けることができることも考えられますが、その時点で家賃相場が前の契約時より上がっていた場合は、家賃が高くなる可能性もあります。
定期借家契約の場合、一定の場合に借主からの途中解約ができます。
一定の場合とは、以下の3つの条件を満たすことが必要です。
また、下記の条件を満たす場合に解約の申入れから1か月の経過により終了します。
(1)居住用の建物賃貸借であること
(2)床面積が200㎡未満であること
(3)転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、借主が建物を自己の拠点として使用することが困難になったこと
なお、途中解約に関して個別に借主の不利にならない特約を結ぶことは可能です。
しかし、貸主からの途中解約は、借主の合意なしではできません。
1年未満の契約期間も可能ですし、期間の上限についても制限はありません。
公正証書等の書面(契約がその内容を記録した電磁的記録によってされた場合も書面でなれたものとみなられるようなりました。)による契約が必要です。
普通借家契約でも書面で契約することは通常ですが、普通借家契約の場合、法律上、書面でする必要はなく、口頭での契約でも成立します。
また、「契約の更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、予め借主に交付して説明しなければなりません。
貸主がこの事前説明をしなかった場合、その契約は定期借家としての効力がなくなり、普通借家契約になります。
公正証書等の書面による契約となっていますので、通常の市販の契約書等で契約しても問題はありません。また、契約がその内容を記録した電磁的記録によってされた場合も書面でなれたものとみなられるようなりました。
契約期間が1年以上の場合は、貸主は契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に、借主に契約が終了することを通知する必要があります。
定期借家契約と普通借家契約の比較を表にしました。