専門家執筆Q&A
徳田 友夫

登記Q&A

登記
Q&A

司法書士
司法書士法人 東西合同事務所
徳田 友夫

不動産登記は、不動産に関連する法律行為には欠かせないものです。日頃一般の皆様が疑問に思われていること、また、登記手続きをする際に誰しもがぶつかると思われる疑問について解説しています。

登記に関する法律をQ&A形式で解説しています。

住宅ローン借り換えの登記

Q
住宅ローンを借り換えたのですがどのような登記が必要でしょうか?また、手続きはどのような流れになるのでしょうか?
A

 毎月の返済額や支払総額を減らしたり、金利上昇リスクに備えて金利条件を変更したりするため、住宅ローンの借り換えを行うことがあります。

 住宅ローンの借り換えは、新たな借入先である金融機関から融資を受け、その資金で今まで借入を受けていた金融機関にローンの残額を返済して行われます。そのため、借り換え先についての抵当権設定登記と、借り換え元についての抵当権抹消登記を同時に申請することになります。

Q
借り換えを行いたいのですが、手続きに費用をかけたくありません。借り換えの登記を自分ですることは可能でしょうか?
A

 通常は、借り換えに伴う抵当権設定登記と抵当権抹消登記を自分で行うことはできないと考えて良いでしょう。

 なぜなら、借り換えの場合、新たな借入先である金融機関が融資を実行し、抵当権設定登記と抵当権抹消登記を申請することになるのですが、新たな借入先の金融機関は大金を融資したにも関わらず、その債権を担保するための抵当権設定登記を失敗するわけにはいかないからです。万が一登記を失敗して再度登記申請をし直したとしても再度の登記申請が行われるまでは無担保で大金を融資したのと同じことになってしまいます。これは金融機関としては許されることではありません。このようなことがおこらないよう、また、個人が重大な責任を負ってしまうことのないよう、司法書士に登記を任せることが必要となります。

 なお、特に司法書士を指定しなければ一般的には新たな借入先である金融機関の指定する司法書士が手続きを行うことが多いようです。

Q
登記簿上の住所と今の住所が異なっています。このままで借り換えの登記はできるでしょうか?
A

 登記簿上の所有者の住所を現在の住所に変更しなければ抵当権等の抹消の登記も新たな抵当権等の設定の登記もできません。登記の申請人が本当に登記簿上の所有者であるか法務局で確認ができないからです。古い住所から新しい住所に移転したことが分かる住民票や戸籍の附票等を用意する必要があります。

Q
借り換えの登記にはどのような書類が必要でしょうか?
A

 下記の書類・実印が必要となります。

借り換えをする人(不動産の所有者)が所持している土地・建物の登記済証または登記識別情報
借り換えをする人(不動産の所有者)の印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)
借り換えをする人の住民票(前住所の記載のあるもの)もしくは戸籍の附票(※登記簿上の住所と今の住所が異なっている場合)
借り換えをする人の委任状(代理人(司法書士)が申請する場合)

※上記の書類はいったん金融機関に提出しなければならない場合があります。また、新たな借入先である金融機関と抵当権設定等の契約を交わす必要もあり、それらの書類も登記に必要になります。司法書士に登記を依頼された場合、司法書士は金融機関とも打ち合わせを行いながら登記手続きを進めますので、金融機関と司法書士からの案内どおりに準備を行えば良いでしょう。

Q
借り換えの登記の費用はどの位かかるのでしょうか?
A

 下記の費用があります。

1 国に納める登録免許税

 抵当権の抹消登記は不動産1筆につき1,000円の登録免許税がかかります。土地1筆と建物1棟の場合、登録免許税は2,000円となります。

 抵当権の設定登記は債権額の1,000分の4の登録免許税がかかります。

2 司法書士に登記を依頼した場合の司法書士に対する報酬

 これは不動産の数や新たに設定する抵当権の債権額等によって変わります。

3 その他郵便代等

Q
私の自宅の場合、土地1筆と建物1棟と前面道路の共有持分に住宅ローンの抵当権が設定され登記されています。この場合借り換えの手続き、費用はどのようになるのでしょうか?
A

 分譲の住宅地等で、前面の道路を各分譲地の所有者全員で共有するケースがあります。その場合の道路については共有持分を所有していることになりますが銀行のローンにより抵当権を設定する場合はその持分にも抵当権を設定するのが一般的です。よって、抵当権の抹消登記については土地1筆・建物1棟・道路の共有持分1筆について行う必要があります(抹消登記の登録免許税は1,000×3=3,000円となります)。また、新たな抵当権についても同じく共有持分にも設定登記を行う必要があります。

 尚、借り換えに際しては登記費用以外に銀行に支払う事務手数料、保証料、全額繰り上げ返済にかかる手数料、団体信用生命保険料、火災保険料等の諸経費も必要となります。借り換えを行うメリットがあるかどうか慎重に検討すべきでしょう。