専門家執筆Q&A
不動産売買のトラブルQ&A

不動産売買のトラブルQ&A

不動産売買のトラブル
Q&A

弁護士
瀬川徹法律事務所
瀬川徹 瀬川百合子

安心・安全な不動産売買契約を締結するために不動産売買のトラブルが、どのような局面から生じているか、そのトラブルを防ぐには何を注意すれば良いのかを解りやすく解説しています。

本コンテンツは、不動産売買契約における基本的事項を述べたものであり、実際に不動産の売買契約を締結される場合には、売買契約の対象となる不動産の特質や売主・買主のニーズなどに応じて、契約内容についての特別な考慮等が必要になることがあります。また、本コンテンツの内容は、平成27年8月31日現在の法律に基づき作成されております。
不動産の売買契約に関してお役に立つ法律情報を、Q&A形式で解説しています。

土地(敷地)と建物の制限の概要

Q
土地の所有者(共有者)は、建物を好きなように建築できるのでしょうか?
A

 建物の建築や増改築を考える場合、「土地(敷地)」が有する利用上の制限を理解する必要があります。「建物」の規模や用途は、土地(敷地)の「法令上の制限」により決まります。

 通常、建物は、下記の手順に従い建築されます。

建築確認

 「土地(敷地)」上に「建物」を建築(増改築を含む)するには、事前に建築主事等から「建築確認」を取得する必要があります。「建物」が「敷地」の有する「法令上の制限」に適合しているか、また、建物の構造上の安全性や衛生上に問題がないか等を確認するのです。

建築工事

 建築工事は、建築確認が得られた後に着工します。この建築確認なしで建築がされた建物は違法な建築物です。

中間検査、完了検査

 建築工事の最中、及び、完了後には、「建築確認」の内容に則した建築がされているかを検査(中間検査、完了検査)し、適切な建築がされた場合に「検査済証」が交付されます。

利用の開始

 前記の「検査済証」の交付を受けた建物は、利用を開始することができます。

「一戸建」や「マンション」を購入する際には、必ず、その建物が「建築確認」を得て建築され、かつ、「検査済証」の交付を受けているかを確認する必要があります。

Q
土地(敷地)の「法令上の制限」について教えてください。
A

 建物の「規模」、「用途」等を決めるのは、その土地(敷地)の「規模(地積、地形)」と「法令上の制限」です。この「法令上の制限」には、その土地(敷地)が存在する「地域」の「制限」と、「前面道路」の「制限」があります。

その土地(敷地)が存在する「地域」の「制限」

 都市計画法は、土地を「都市計画区域内」と「都市計画区域外」に大別します。そして「都市計画区域内」の土地を、「市街化区域(市街化を促進する区域)」と「市街化調整区域(市街化を抑制する区域)」に区分し、無秩序な市街化を防止し健全・計画的な都市造りを目指しています。

 さらに、「市街化区域」の土地を中心に、「用途地域」等の21種類の「地域地区」と呼ばれる土地利用の規制を定め、建物の用途、規模(建ぺい率、容積率)、高さ、構造等に関する制限を定めています。

 「一戸建て」や「マンション」の敷地は、通常、この「市街化区域」内にあり、「用途地域」等、様々な「地域地区」の制限を受けています。

土地(敷地)の「前面道路」による「制限」

 都市計画区域内の建築物の敷地は、原則として「道路」に2m以上接する必要があり(建築基準法43条)、「道路」の幅員は、原則として4m(6m)以上であることが必要です(同法42条1項)。

 この「道路」には、公道(国、自治体の管理)や私道(個人所有の位置指定道路等)があります。

 また、道路の幅員が4m未満でも、道路と見做されているものがあり(同法42条2項)、この場合には、道路の中心線から敷地内に2メートル後退した位置を建築可能な敷地と道路の境界線と見做して建築を行います。したがって、その敷地が前記の要件を充足しない限り、地上に建物を建築することができません。

Q
なぜ「法令上の制限」を理解することが必要なのですか?
A

 不動産売買契約の売買代金額は、「建物」と「土地(敷地)」の価格の合計額です。

「土地(敷地)」については、どのように有効利用できるかの「利用価値」の判断が伴い、重要な要素の一つが「法令上の制限」です(詳細は、【Q 土地(敷地)の「法令上の制限」について教えてください。】を参照)。

「法令上の制限」を誤解して利用価値を過大評価して過大な売買代金額の契約を締結することがあります。その結果、誤解した当事者には損害が発生します。

 しかし、「法令上の制限」を理解し、その「利用価値」を正しく判断するには、極めて専門的な知識と経験が必要であり、「不動産業者」等の専門家の助力が必要です。「不動産業者」は、「重要事項説明書」に「法令上の制限」に関する必要事項をわかりやすく詳細に記載し、資料などを添えて説明を行う義務を負担しています(業法35条)。なお【Q 不動産売買には「不動産業者」が関与しますが、「不動産業者」は、何をしてくれるのですか?】を参照ください。