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相続の税務Q&A

相続の税務Q&A

相続の税務
Q&A

税理士
JTMI税理士法人日本税務総研
田中 耕司

相続税は一般的に増税になったといわれていますが、特例の拡大や創設などが行われており、工夫次第では相続税や贈与税の節税が合法的にできます。合理的で無理のない節税を解説しています。

※本コンテンツの内容は、平成28年4月1日現在の法律に基づき作成されております。
相続の税務についてQ&A形式で解説しています。

相続税の申告と納税

Q
相続税の申告期限と申告方法を教えてください。
A

 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10ヶ月以内となっています。期限内に申告しなかったときは無申告加算税というペナルティが課せられます。申告書の提出先は、相続人の住所地ではなく被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署となっています。

図表16 無申告加算税の税率など
Q
相続税の申告までのタイムスケジュールを教えてください。
A

 相続税の申告までのタイムスケジュールは、おおむね 図表17 のとおりです。

 具体的な申告手続きは亡くなられた方の職業や財産内容などにより異なります。早めに専門家に相談することをおすすめします。

図表17 相続税の申告までの流れ
Q
相続税の納付方法はどのようなものがありますか。
A

 相続税の納付期限は、申告書の提出期限と同じです(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内)。金銭で一括納付するのが原則で、納付が遅れたときは原則として延滞税がかかります。

 金銭での一括納付がむずかしいときは、一定の条件のもとに延納又は物納の方法が認められています。

図表18 相続税の納付方法
Q
延納とはどのような制度ですか。
A

 相続税の延納とは、期限までに金銭での一括納付が困難である場合、分割納付することができる制度です。延納期間中は、一定の割合による利子税を納付する必要があります。

 相続税の延納は、納期限又は納付すべき日までにその申請を行うとともに担保を提供し、税務署長の許可を受けることにより認められます。

Q
延納の要件である「金銭で納付することが困難」とはどのように判定するのですか。
A

図表19 のとおり、相続財産の状況や申請者自身が所有している財産状況、収入や支出の状況を踏まえ納付資力を判定します。

図表19 延納することができる金額(延納許可限度額)の計算
Q
物納とはどのような制度ですか。
A

 物納は、延納によっても金銭で相続税を納付することが困難な場合に、納税者の申請により、納付を困難とする金額を限度として認められています。

Q
物納ができる財産にはどのようなものがありますか。
A

 相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、その所在が日本国内にあるものを、物納に充てることができます。

 ただし、相続時精算課税又は非上場株式の納税猶予を適用している場合には、それらの適用対象となっている財産は、物納することはできません。

Q
物納に充てることができる財産の種類及び順位を教えてください。
A

 物納に充てることができる財産の種類及び順位は次のとおりです。

第1順位 国債、地方債、不動産及び船舶(ほか特定登録美術品)

第2順位 社債及び株式並びに証券投資信託又は貸付信託の受益証券

第3順位 動産

Q
物納できない財産はどのようなものがありますか。
A

 国において管理又は処分をするのに不適格な財産(管理処分不適格財産)は物納できません。

 次のような財産は管理処分不適格財産とされます。

(1) 不動産

① 担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産

② 権利の帰属について争いのある不動産

③ 境界が明らかでない土地

④ 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産

⑤ 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの

⑥ 借地権の目的となっている土地で、その借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの

⑦ 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含みます。)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は二以上の者の共有に属する不動産

⑧ 耐用年数(所得税法の規定に基づいて定められている耐用年数をいいます。)を経過している建物(通常の使用ができるものを除きます。)

⑨ 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産

⑩ その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産

⑪ 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産

⑫ 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産

(2) 株式

① 譲渡に関して金融商品取引法その他の法令の規定により一定の手続が定められている株式で、その手続がとられていないもの

② 譲渡制限株式

③ 質権その他の担保権の目的となっているもの

④ 権利の帰属について争いがあるもの

⑤ 共有に属するもの(共有者全員がその株式について物納の許可を申請する場合を除きます。)

(3) 上記以外の財産
その財産の性質が上記の財産に準ずるものとして税務署長が認めるもの

Q
物納劣後財産とはどのような財産をいうのですか。
A

 物納劣後財産とは、他に物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り物納に充てることができる財産です。

Q
物納劣後財産にはどのようなものがありますか。
A

 物納劣後財産は次のような財産をいいます。

① 地上権、永小作権若しくは耕作を目的とする賃借権、地役権又は入会権が設定されている土地

② 法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地

③ 土地区画整理法による土地区画整理事業等の施行に係る土地につき仮換地又は一時利用地の指定がされていない土地(その指定後において使用又は収益をすることができない土地を含みます。)

④ 現に納税義務者の居住の用又は事業の用に供されている建物及びその敷地(納税義務者がその建物及び敷地について物納の許可を申請する場合を除きます。)

⑤ 劇場、工場、浴場、その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地

⑥ 建築基準法第43条第1項に規定する道路に2m以上接していない土地

⑦ 都市計画法の規定による都道府県知事の許可を受けなければならない開発行為をする場合において、その開発行為が開発許可の基準に適合しないときにおけるその開発行為に係る土地

⑧ 都市計画法に規定する市街化区域以外の区域にある土地(宅地として造成することができるものを除きます。)

⑨ 農業振興地域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において農用地区域として定められた区域内の土地

⑩ 森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地

⑪ 法令の規定により建物の建築をすることができない土地(建物の建築をすることができる面積が著しく狭くなる土地を含みます。)

⑫ 過去に生じた事件又は事故その他の事情により、正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれに隣接する不動産

⑬ 事業の休止(一時的な休止を除きます。)をしている法人に係る株式