不動産、特に土地は、目の前に示されている価格がなぜその価格になるのかがわかりにくいと思います。そのような、わかりにくい不動産の価格について、少しでも理解を深めていただけるように解説しています。
不動産の価格はどのように決まる?地域要因に左右されるとは?
◆交通に関する要因
◆環境に関する要因
◆交通に関する要因
住宅の場合には、その周辺地域の住民の生活が便利になるため、人気が出て価格が上がることになるのが一般的です。ただし、駅が新設される数年前には、値上がりを期待した需要を反映して、土地の価格は既に一定限度まで上昇していることもあるため、開業間近や直後に取得した土地は開業後の値上がりはあまり見込めないかもしれません。
その駅の乗降客数や、その駅を利用する乗降客のその駅までの主な交通手段、駅前のその他の店舗の状態、商店街の状態によっても変わってきますが、駅前すぐの物件はそこしかないという点で希少価値が高いため、駅から続く商店街内の土地よりも価格が高くなっている場合が多いです。ただし、駅を利用しない客も周辺から多く集まるような集客力の高い商業施設があるような商店街の場合には、駅前すぐの物件よりも高い価格となることもあります。
マンションの場合、車両の通行量が増え、騒音や振動などが生じることになった場合にはむしろマイナスとなる可能性もあります。
事務所の場合、マンションと同様に、騒音や振動などが生じることになった場合にはマイナスとなることもありますが、あまり大きな影響はないと思われます。
店舗の場合、車両の駐車場が多く確保されているような店舗であれば、立地によっては店舗の来客が増えることがあり、賃料水準が上昇する可能性があります。
倉庫の場合、特に物流関連の倉庫の場合には、長距離輸送の拠点としての希少性が生まれますので、賃料水準が上昇する可能性はあります。
新しく整備された道路に面することになる場合には、土地の価格が上がるのが一般的です。新しく道路が整備されることによって、所有している土地は面していなくても、経由ルートが改善されるなど、利便性が向上するような場合も、土地の価格が上がるのが一般的です。
特に、整備される道路が幹線道路で、多くの車両が通行するようになる場合には、行政上の規制次第ですが、コンビニエンスストアやファミリーレストランなどが進出してくる可能性もあるので、土地の価格が上がるのが一般的です。ただし、地方などで周辺の人口が少なく、通過道路としてのみ使われるような場合には、店舗用地としての需要は少ないため、土地価格が上昇しない場合もあるでしょう。
◆環境に関する要因
① 住宅地の場合
住宅地の場合には、住民の買い物などが便利になるため、人気が出て価格が上がる可能性はあります。ただ、家の前を車が多く通るようになったり、深夜まで営業している店舗に近すぎて夜間騒がしいというような場合には、敬遠されて価格が下がってしまうこともあります。なお、店舗に近いエリアの場合には、店舗が建築可能な土地であれば、店舗用地として周りの住宅地よりも価格が上がることもあります。
② 商業地の場合
商業地の場合、大規模ショッピングモールが進出すると、立地と業態によっては小規模の小売店舗は客足が遠のくことも予測され、そのような場合は価格が下がってしまうこともあります。
違いはあります。市が異なっている場合には、建物の建築に対しての行政上の規制や公立小中学校の学区、その他生活に関連する助成金や補助金などの制度が自治体によって異なるので、ライフスタイルに合わせて検討する必要があります。
後ろが山になっている場合には、地盤や地質の状態によっては、土砂崩れなどの被害を受ける、あるいは、地盤が崩れるなどということがあるかもしれません。地盤や地質が安全な状態かどうかは、専門家の調査が無ければわからないため、リスクを考えてなかなか買い手がつかず、安くなっている可能性があります。なお、急な傾斜の土地が隣接している場合は、都道府県が「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」をウェブサイトで公開していますので、その土地のあるエリアがその区域に入っているかどうかを確認することができます。※2024年4月1日から国土交通省は「土石流危険渓流」、「地すべり危険箇所」、「急傾斜地崩壊危険箇所」 及びこれらの総称としての「土砂災害危険箇所」(都道府県が指定)を使用しないこととする通達を出しました。そのため各都道府県においても、土砂災害危険箇所の名称を用いないことになりました。土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域の指定にあたって〔自然現象の種類〕として「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地滑り」の別が公示されています。
景観条例で、建物の高さ制限が新たに設けられた場合や、絶対的な高さの制限はないものの、特定の景色を見通せるような空間を確保しなければならないとする規定が設けられていることがあります。
現在の建物は法律を守って建築していたとしても、再建築する時には、現在の建物と同じだけの床面積が確保できない場合、不動産全体としての価値は以前よりも下がることもあり得ます。
ただし、その景観条例が制定されたことによって環境が改善し、人気エリアとなったような場合には逆に価値は上がることもあります。