

不動産、特に土地は、目の前に示されている価格がなぜその価格になるのかがわかりにくいと思います。そのような、わかりにくい不動産の価格について、少しでも理解を深めていただけるように解説しています。
不動産とは?
一口に「不動産」と言っても、実は色々です。
一般的には「土地及びその定着物」と表現されることが多いですが、身近なところでは、「土地」と「建物」に分けることができます。現実には「土地だけ」、「建物だけ」、「土地と建物を組み合わせたもの」とに分けることができます。これらの不動産についてどう利用しているか、どう利用されているかによって、同じ「土地だけ」「建物だけ」等でもさらに分けることができます。価格を知りたい不動産がどのような不動産なのかによって価格の決まり方が異なります。
あげてみると次のとおりです。
- 〔宅地〕
- ①更地
- ②底地(貸宅地)
- ③借地(賃借権、地上権)
〔それ以外〕- ①農地
- ②林地
- ③道路等建物の敷地として利用できない土地
- ①自用の建物
- ②貸家(かしや)
- ①自用の建物とその敷地
- ②貸家とその敷地
- ③借地権付建物
- ④区分所有建物とその敷地
1 土地
〔宅地〕
公法上の規制や地勢地盤等を踏まえて建物の敷地として利用することが可能な土地は【宅地】です。
相続税の課税上は、課税時点で駐車場である土地は【雑種地】と呼ばれ【宅地】とは違う取り扱いがされますが、所有者の気が変われば建物の敷地として利用できる土地は、売買市場では価値は【宅地】と同じです。
また、土地の現実の利用の状態をベースに登記の〔地目〕により分類される呼び方として、【宅地】【雑種地】【公衆用道路】【山林】【田】【畑】等があります。登記の地目が【雑種地】や【山林】であっても、公法上の規制や地勢地盤等を踏まえて建物の敷地として利用することが可能な土地は【宅地】です。
【宅地】を権利の態様に応じて分類すると次の①~③になります。
①更地は、土地の所有者が未利用のままにしているなど、建物等の敷地として使っていない土地を言います。空き地がその代表的な例ですが、青空駐車場として利用されているものも更地と言えます。厳密には、土地に塀や樹木などがある、アスファルト舗装が施されている場合等は「更地」とは言えず、〔塀や樹木がある土地〕や〔アスファルト舗装された土地〕と呼びます。
②底地は、「建物所有を目的とする借地権等の付着した土地」で、土地の所有者がその土地を自分で利用せず、他人が利用している形態です。ただし、建物所有を目的としていない貸駐車場は借地権が付着した「底地」ではありません。
上記二つは、土地を所有権側からみた形態です。
③借地権は、土地の所有権ではないが、その土地を利用する権利であり、借地借家法第2条で「建物所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいう」と定められています。土地の上に建物を所有するために土地を借りる権利ですので、駐車場として使うための賃借権もしばしば「借地」と呼ばれますが、ここでいう「借地権」にはあてはまりません。
〔宅地以外〕
【宅地以外】の土地は、建物の敷地として利用することができない、または建物の敷地として利用することが予定されない土地のことを指します。公法規制によって田や畑以外に使えない【農地】、立木竹が生えている(または植えられている)【林地】等は宅地ではありません。また、アスファルト舗装されて不特定多数の人の通行の用に供されている土地も、建物の敷地として利用できない場合は宅地ではありません。
2 建物
建物には色々な種類があります。一戸建住宅、共同住宅、事務所、店舗、工場、倉庫などです。
①自用の建物とは、建物の所有者が他人に貸さずに使用しているものを言います。
②貸家(かしや)は、建物の所有者が他人に貸しているものを言います。借りている側からみると「借家」(しゃっか)となります。
3 土地と建物の組み合わせ
①自用の建物とその敷地は、土地の①(更地)と、建物の①(自用の建物)との組み合わせです。土地の所有者が自身で使っていて誰にも貸していない建物がのっている土地と建物です。自宅や、自社ビルの土地と建物等がその例です。
②貸家(かしや)とその敷地は、土地の①(更地)と建物の②(貸家)の組み合わせです。
③借地権付建物は、土地の③(借地)と、建物の①(自用の建物)または②(貸家)の組み合わせがあります。