不動産、特に土地は、目の前に示されている価格がなぜその価格になるのかがわかりにくいと思います。そのような、わかりにくい不動産の価格について、少しでも理解を深めていただけるように解説しています。
不動産の価格はどのように決まる?その要因は?
不動産についても一般の「物」と同じように、売主(供給)と買主(需要)がそれぞれ希望する額が相互に一致したときに売買が成立し、価格が決まります。
しかし、不動産は、似たような物件はあっても、同じものは2つとありません。したがって、新規に土地や建物を分譲するときに売主側が設定する「販売価格」はあっても、いわゆる「定価」というものはありません。販売価格も、売主側の「売り希望価格」です。そして、買主がその価格なら欲しいと思える価格である「買い希望価格」と売主側の「売り希望価格」が一致すれば売買が成立し、価格が決まります。
不動産の価格を左右する要因には、以下のようなものがあります。それらの要因には、全ての不動産の形態や用途に共通するものもあれば、全く異なるものもあります。
- ① 日本中の不動産に影響を与える要因〔一般的要因〕
- ② あるエリアの不動産に共通の地域の要因〔地域要因〕
- ③ その不動産の個別の要因〔個別的要因〕
①一般的要因は、世界情勢も含めた、政治、経済の状態や、法制度、人口動態や社会動態、気候等、国全体の不動産に共通する要因です。
②地域要因は、都道府県や市区町村等地方自治体単位で制定される条例や要綱、都市計画や交通整備計画等、その不動産があるエリアにおける特定の事情に起因する要因です。ただし、同じ自治体内でも、住宅が集積している住宅地域なのか、商業施設が集積している商業地域なのか、工場や倉庫が集積している工業地域なのかによって、同じ要因でも価格に影響を与える度合いが異なるものもあります。さらに、住宅地域でも、戸建住宅が多い地域とマンションが多く見られる地域では価格に影響を与える要因と度合いは異なります。商業地域でも、昔ながらの商店街、一部上場企業のオフィスビルが集まっているような地域、郊外の幹線道路に量販店やガソリンスタンド、ディーラー等の駐車場が多い店舗が並んでいるような地域では異なります。工業地域でも、大企業の大規模工場が集積するような地域と家内工業的な小規模工場が集まる地域では異なりますし、工場が集積する地域なのか、倉庫が集積する地域なのかによっても要因は異なります。
価格に影響を与える要因が広い範囲で共通している場合もあれば、狭い範囲でしか共通していない場合もあります。
③個別的要因は、その不動産特有の要因です。土地だけの要因、建物だけの要因、土地と建物一体としての要因がありますが、更地ではなく、土地と建物一体の場合には、建物の種類(一戸建なのかマンションなのか、住宅なのか店舗なのか事務所なのかなど)によって要因や価格に与える影響の度合いが異なります。