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不動産売買契約Q&A

不動産売買契約Q&A

不動産売買契約
Q&A

弁護士
田宮合同法律事務所

初めて不動産の売買契約を締結される方が売買契約書をご覧になった際などに参考にして頂けるよう、分かりやすい言葉、一般的に使われている言葉で、法律の基本的な事項を解説しています。

不動産の売買契約に関してお役に立つ法律情報を、Q&A形式で解説しています。

反社会的勢力の排除条項

Q
反社会的勢力の排除条項を定めておくことにはどのような意味がありますか。
A

1. 暴力団排除条例について

 平成23年10月1日に東京都と沖縄県で暴力団排除条例が施行されたことにより、47都道府県全てにおいて、暴力団排除条例が施行されています。

 多くの暴力団排除条例では、契約を締結する際に、暴力団排除条項を定めることを努力義務としています。

 具体的には、事業者は、事業に係る契約を締結する場合には、①契約の相手方などが暴力団関係者でないことを確認したり、②後に暴力団関係者であることが発覚した場合には契約を解除できるように契約で定めたりするように努めなければなりません。

 特に不動産を譲渡する場合などは、事業者であるか否かを問わず、①その不動産を暴力団事務所に使用するものでないことを確認したり、②契約書上で、その不動産を暴力団事務所に使ってはならないこと、及び、暴力団事務所として使用した場合には売買契約を解除したり、その不動産を買い戻せることを規定したりするように努めなければなりません。

 このような暴力団排除条例の要請に応えるという意味で、暴力団排除条項を定めておくべきでしょう。

2. 反社会的勢力との関係遮断について

 先ほど述べた暴力団排除条例が全国で制定された事実からも明らかなとおり、反社会的勢力との関係遮断は、重要な社会の要請といえます。

 事業者であれば、反社会的勢力との関係を疑われた企業は、取引上の信用を害することになりますので、暴力団排除条項を定めておくことが極めて重要です。また、事業者であるか否かにかかわらず、反社会的勢力と意図せず契約を締結してしまった場合には、暴力団排除条項を根拠に反社会的勢力との契約を解除し関係の遮断を図ることができるという利点があります。

 これらの点を踏まえても、不動産の売買契約書には、暴力団排除条項を定めておくべきでしょう。

 万一、不動産の売買契約の相手方が暴力団排除条項を定めることに難色を示した場合には、相手方が反社会的勢力である可能性もありますので、その相手方と不動産売買契約を締結するかどうかも含めて慎重な検討が必要になるでしょう。