不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報境界・筆界Q&A境界を決めるにあたって考慮される要素(占有の客観的な状況、土地登記簿(土地台帳)や公図等)

境界・筆界Q&A

専門家執筆Q&A
奥野 尚彦

境界・筆界Q&A

境界・筆界
Q&A

土地家屋調査士
土地家屋調査士法人東西合同事務所
奥野 尚彦

境界について、改めて疑問を感じたときや問題が発生したときに気軽に参考として利用いただけるように、できるだけ普段使用している言葉で基本的な事項を実務に即して記載しています。

本コンテンツの内容は、平成27年6月30日の法律に基づき作成されております。
土地と土地との境界に関わる事柄をQ&A形式で解説しています。

境界を決めるにあたって考慮される要素
(占有の客観的な状況、土地登記簿(土地台帳)や公図等)

Q
御隣との境界がはっきりしません。どんなことを考慮していけばよいでしょうか。
A

 まず第一に隣接土地所有者間でよく協議を尽くすことです。
 双方で互いに資料を持ち寄り、互いに冷静に事情を話し合い、相手方の言い分に耳を傾け話し合うことが重要です。
 境界の資料に乏しい場合は、公図で判断したり、現地の地物で判断するなど互いに資料選択の余地が大きくなく、境界線判断としての決め手に欠けますので、現況測量の成果を踏まえて冷静に総合的に判断する必要があります。

1.公的な資料

公図、地積測量図:

 公図は「距離・面積・方位・角度などのような定量的な問題についてあまり信用することができず、境界が直線であるか曲線であるか、辺長の比、面積の比はどうであるかという定性的な問題についてはかなり信用できる」(【公図(14条地図)・地積測量図】の項参照)とされていますので、そのまま現地の状況を当てはめるのは難しいことです。
 地積測量図は辺長の記載もあり現地で判断しやすい材料ですが、一方的な資料だけではなく相手方を含む周辺土地との整合も考慮して適用する必要があります。
 実際に、分譲地のように分筆に関する地積測量図が存する土地の同じ点であっても、街区の東側から辺長を追い出した点と、街区の西側から辺長を追い出した点で数センチずれがあって一致しない、といったケースはよくあります。このような場合には、自己に有利な根拠に固執するのではなく、ブロック塀などの地物を含めて判断し、真実の境界は発見困難でもその近似値を求めるように努めるのが良いと思います。

震災復興・戦災復興・耕地整理などの区画整理図面

 作成年代が古くとも、震災復興図面、戦災復興図面は官公庁における道路境界確認の参考とされており道路との境界線、道路に面した各土地の境界線を検討する重要な資料となります。対象となる土地を含む街区全体で検討することになるため、一筆地測量に対し過大な測量範囲、検討対象が要求されます。実務上での作業手段としては、その作業方法、検討内容につき慎重な対応を行なう必要があります。

市区町村の地籍調査図面、敷地構成図など管理資料

 市区町村によっては、地籍調査における道路街区測量、道路敷地調査などを実施してその成果を備え付けています。市区町村管轄の道路境界確認を行なう場合に参考とされますので、敷地構成図などが備え付けられている場合は、概ね街区単位の形状、寸法は定められているといえます。勿論これらは市区町村によって街区の境界線が創設されたわけではありませんので、他の資料によって異議がある場合は、筆界特定、境界確認訴訟といった手段を選択できます。

私的な資料

イ)

互いの土地の売買契約や図面(実測図、分譲区画の造成図、分筆図面、建築確認申請図面など)
 土地を取得したとき、建物を建築したときなどの状況を知る資料として利用できますが、分筆登記など公簿との関係を考えていない図面も多く、隣接地との境界確認を行なわず所有者の主張線に沿った内容となっているなど当時の占有状況を知る参考資料と考えることができます。

ロ)

境界付近の占有の記録(建物建築、塀構築等の費用負担、設置位置に関する経緯)
 隣地所有者の先代、先先代の言動であったり、メモ書きであったり、当時の感情が入っていたりと比較的扱いが難しい資料です。ただ、当時の現況、その後の経過を知り、現状と比較することにより、解決の糸口が見える場合があります。

2.占有の客観的な状況

 必ずしも基準ではありませんが、地物の設置状況により一般的に次のように判断することが可能です。

塀の控え、支柱など

イ)

一般的に平坦な分譲地などでは塀を境界線の中心となるように設置する。

ロ)

ブロック塀の控え壁がある側、板塀などの支柱がある側、コンクリート擁壁の勾配がある側などはその構造物は控え壁、支柱、勾配がある側の所有者が費用を負担し、境界線内の自己所有地に設置していると考える。

法面

 宅地造成地などでひな壇のように区画に高低差がある場合、盛土法面はその上部地盤の土地に属し、切土法面はその下部地盤の土地に属するのが一般的です。

軒先

 通常、建物の軒先は敷地内に設置するものです。軒先までの排水、樋、桝等の設備を含めて所有地内で処理するのが妥当と考えられます。
 下水の整備が進んでいない時代には、建物と建物の間の空間は排水等の双方共通の利用を行なってきたため、お互いが敷地を等しく提供しあって処理してきた経緯があります。