

相続の税務や贈与について、遺産を分割する場合に注意すべきこと、法人税など他の税法との関連、税務署の調査官の考え方などにも言及した実務アドバイスです。
住宅取得資金贈与の非課税特例なんて焼け石に水なのか
ちょっと見方を変えてみてはいかが?
―住宅取得資金贈与って、結構ルールがたくさんあることは何となくわかったけど。
特例が使えたとしても、非課税の枠自体も購入する建物によって1,000万円じゃなくて、500万円しか使えないこともあるみたいじゃない?
―そうね。この特例は、期限のある法律で、ほぼ3年ごとに延長されるたびに見直されているの。だから、絶対に条件や提出しないとならない書類のリサーチは必須よ。
現行の法律は令和8年の12月31日までの要件だから、来年の1月1日からの贈与だと変わることもあるかも。
それに今の税法で1,000万円の非課税が適用できる「省エネ等住宅」と一言で言っても、新築の時と中古住宅の時とは、必要な証明書を発行してくれる機関が違うこともあるから注意は必要ね。新築の時は、絶対に施工業者などにしっかり確認や依頼しておかないとあとからだと証明が大変なこともあると聞いたわ。
中古住宅の場合だと、証明を取るのも、どこに相談したらいいのかさえわからないことも多いの。発行する機関の一覧は、国土交通省のホームページにもあるわ。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000054.html
―うーん、結構大変そうね。贈与税が非課税になるならしかたないのかしら。それにしても、どんどん住宅の価格が上がる一方。
確かに、非課税の特例は使いたいと思うけど、こんなに高額になってしまったら、残りの購入資金を自分たちで準備するのは、それ自体が無理じゃないかしら…。ローンを借りることさえ難しいかも…。とも思ってしまう。
だからと言って、お家賃も更新ごとに上がる一方だし、本当にどうしたらいいの。
首都圏では、マンションの新築物件はもとより、中古物件も1億をはるかに超えてしまったとのニュースがありました。
もちろん、住宅資金贈与の非課税は有利な特例といえるものの、贈与資金以外の資金調達もとても難しくなっています。「焼け石に水」のように感じてしまう方もおられるのではないでしょうか。
ご両親のなかには、もっと援助してあげたいのに、贈与税の枠にとらわれて二の足を踏んでいる方もおられるかもしれません。
そんな方に、お勧めしたい方法は、これです。
「おうちを買って」あげてください。「おうちを建てて」あげてください。
そんなことしても大丈夫?
もちろん、子供の名義にしてしまうと資金をあげたことになるので贈与税の対象です。
けれども、自分の名義にすれば贈与でもなんでもない。だって、自分のお金で、自分の持ち物にしたのですから。
でも、家賃など取らなくてもいいの?
もちろんタダでOK。(子供の頃、両親の持ち家に住んでいた時、贈与税かかっていましたか?)
※家賃を払わずに子供が居住しても贈与税がかからないことについて、もう少し詳しくお知りになりたい方はバックナンバー2020年12月号をご覧ください。
メリットとしては、
〇子供側
①家賃が不要。
②ローンの金利上昇におびえる必要なし。
③固定資産税や、修繕費などを払ってもらえる。
(共有にした場合は、自分の持分割合についてはその限りではありませんが…。)
④相続で受け取ると、実質の負担額は相続税のみで、自分のものに。
〇親側
①不動産購入による相続税の節税対策になる。
言わずと知れた昔からの方法ではありますが、購入額と評価額の差が節税できるというものです。
節税のためだけに不動産購入するよりも、必要なものですから活用意義もあるし、無駄や失敗も少ないはず。(何より喜んでもらえるのでは?)
ただ、親の生前中に売却することがあった場合、親の持分に対しては自己の居住用ではないので、値上がり益に対する居住用の3,000万円控除などの特例は使えません。(値上がりしていること自体を、「よし」としてください。)
また、相続時の問題として、他のお子様とのバランスを考える必要はあるかもしれませんし、遺言などで、居住している方が必ず受け取れるような配慮もしておく方がよい場合もあります。(これは、ケースバイケースで)
あと、あるハウスメーカーの方に伺ったのですが、やっぱり「自分の住む家は自分の名義にしたい」って言う方が一定数おられるとのこと。
金利も上がって、ローン控除が有利だった時代もどうなるかはわかりません。今後は、親名義とか親子共有名義でのおうちの購入も検討してみてはいかがでしょうか。
その際は、条件さえ合えば、少し面倒でも贈与税の申告をして「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の特例額(1,000万円または、500万円)に相当する持分を子供名義で確保しておくこともお忘れなく。
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