

相続の税務や贈与について、遺産を分割する場合に注意すべきこと、法人税など他の税法との関連、税務署の調査官の考え方などにも言及した実務アドバイスです。
おうちが欲しい!!けど高すぎる…
住宅取得資金贈与の前に知っておきたいあれこれⅠ
-持分の共有登記が必要な場合の注意点-
近年のマンションの高騰、新築・中古ともビックリするほどです。
首都圏から始まって以来、大都市圏を中心として全国に広がっています。
戸建てにしても、地価の上昇のみならず、建築価格も軒並み値上がり、追い打ちをかけてイラン情勢不安から先行きが不透明、計画すらスムーズにはいかないようです。
ローン金利も上がる傾向、となると八方塞がり。
そんな時、ご両親やご祖父母様の救いの手。
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の特例です。
この特例は、平成21年からありますが、延長のたびに条件がコロコロ変わるので注意が必要です。(今の特例は、令和6年1月から令和8年12月までのものです。)
申告時期になってあわてても、遅いこともありますので、パンフレットなどからは読み取りにくいところをピックアップしたいと思います。
まずは、受贈者(もらう方)の条件。大きな柱の部分である次の1~5は、概ね以前から変わりませんが、少し注意していただきたい点を私なりに付け加えていきたいと思います。
1.父母や祖父母などの直系尊属からの贈与
2.贈与を受けた年の1月1日に18歳以上である
3.贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下である
4.贈与年の翌年3月15日までに、住宅取得資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築・取得又は増改築をする
5.原則としては、贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住する。又は、同日後、遅滞なくその家屋に居住する
上記1.にあるように、直系なので、例えば、「妻の父親」から贈与の援助してもらった場合は、その額に対応する持分は、必ず「妻」の持分にしなくてはなりません。
当たり前のような気もしますが、この登記持分がアンバランスだと、別な贈与税がかかってしまうことにもなりかねません。
登記について、注意していただきたい点をいくつかご紹介したいと思います。
6,000万円の物件(土地3,000万円、建物3,000万円)に対して、妻の父親から1,000万円の贈与があり、残りの5,000万円を夫の資金やローンで支払った場合を例にします。
【問題のある登記例1】
「全部を夫」で登記
1,000万円が義理の父親から、「夫」に贈与されたことになってしまいます。直系ではないので、「夫」に一般の贈与として231万円の贈与税が課税されてしまうことになります。
【問題のある登記例2】
「夫 1/2」「妻 1/2」で土地建物とも登記
妻の持分が、3,000万円に相当することになってしまいます。
父親から贈与された1,000万円分は非課税の特例が適用できますが、残り2,000万円については、資金負担している「夫」からの贈与となります。ちなみに贈与税は、このケースは驚きの695万円にもなりますので、安易な共有登記は禁物です。
【問題のある登記例3】
土地:「夫 2/3」「妻 1/3」
建物:「夫 全部」
一見すると、夫が5,000万円、妻1,000万円でバランスよくみえますよね。
このような登記をする場合は、土地を先行して購入後、建物を建築する場合などにありがちです。
「えっ?土地の購入資金も、非課税特例できるのでは…?」
おっしゃるとおり、土地に贈与資金を充当しても、上記4の条件を満たして、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その取得した土地の上に住宅用家屋を新築(屋根や骨組みまで、いわゆる棟上げの終わったものを含む)した場合は、特例の適用対象になります。
ただし、特例の名称をよくご覧ください。
「住宅取得等資金」とあります。
あくまでも、「住宅の新築に先行してその敷地の用に供される土地を取得するため」の資金が「住宅取得資金」として認められることになるので、住宅を取得することが何よりの条件になるのです。
この登記内容では、「妻」は、住宅を所有していません。そのため、非課税の特例をうけることができないのです。
それでは、どうしたらいいのかって。
難しいことはありません。特に土地の持分とそろえる必要はありませんので、少しでも建物を所有すればいいのです。(極端ではありますが、1%でも)
あまり細かい端数まで、計算することはないと思うのですが、分かりやすい割合で、この場合だと、土地9/30と建物1/30などはいかがでしょうか。
また、贈与された1,000万円だけでなく、「妻」に自己資金があれば、土地持分1/3のままで建物に少し資金を拠出し、建物の持分登記に反映させるのもよいと思います。
今回は、ここまでとさせていただきます。
この特例、以外に落とし穴が多いので、次回もまだまだ続きます。







