

相続の法律制度(民法と相続税法の相続財産を巡る取扱の違い等)について、弁護士が解説したアドバイスです。
実際の取得額の割合で税金を計算してください!
遺留分侵害額の支払いを受けた場合の相続税の計算
最近、ニュース以外の地上波のテレビ番組は、ほとんど見なくなりました。
何を見ているかというと、ユーチューブなどのSNSとネットフリックスやアマゾンプライムなどの動画配信サービスです。
特に、ユーチューブなどのSNSは、地上波のニュースについて、「ほんとかな?」とか「ほかの意見は?」と思ったときに見ると、とても便利です。
地上波のニュースが、発言者のある発言だけを切り取っていたり、番組の方向性に合わせて編集されていると思ったときに、SNSで、発言の全部を見たり、いろいろな意見を聞くと、地上波のニュースを鵜呑みにしなくなります。
ただ、SNSがちょっと怖いのは、自分が好む情報を選んでみていると、それに合わせた情報が次から次へと出てきて、逆に、知らず知らずのうちに、他の意見を見なくなってしまうことです。
さて、今回は、遺留分侵害額請求をして、遺留分侵害額の支払いを受けたときに、支払いを受けた人が支払う相続税の額のお話です。
分かり易いように、事例で考えてみましょう(なお、あくまで架空の事例ですので、単純化しており、また、遺産額や税額は、正確なものではありません。)。
Xさんが亡くなり、相続人は、A及びBの2人の兄弟です。Xさんの遺産は、自宅の土地及び建物とアパート2棟だけで、相続税評価額では、8000万円程度でした(相続債務はないものとします)。
Xさんは、公正証書遺言を残しており、その遺言には、遺産は全てAに相続させると書いてありました。
そこで、Aは、遺産である不動産全てについて自分に所有権を移転する相続登記を行い、その後、相続税の申告をして、相続税約600万円を支払いました。
その後、Bが、Aに対して遺留分侵害額請求をして、BがAから支払いを受ける遺留分侵害額について、双方の弁護士の間で交渉を開始しました。
遺留分侵害額の計算は、X死亡時のXの遺産の時価で行われますので、双方の弁護士が、Xの遺産である不動産について、不動産業者の査定を持ち寄って突き合せ、相続税評価額の2倍の合計1億6000万円ということで話がまとまりました。
不動産の相続税評価額は、時価よりもかなり安い路線価をベースにして、さらに税金を安くする特例などを用いて計算しますので、相続人の死亡時の時価からは、かけ離れてしまうことがよくあるのです。
Xの遺産である不動産の評価額が1億6000万と決まったので、Bが支払いを受けることができる遺留分侵害額は、その4分の1の4000万円ということになり、その旨の合意書を交わして、Bは、Aから4000万円の支払いを受けました。
事例の説明が長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
4000万円の支払いを受けたBは、遺留分侵害額の支払いを受ける合意が成立してから4カ月以内に、相続税の申告をしなければなりません。
では、この場合、4000万円をもらったBが支払うべき相続税額は、いくらになるのでしょうか。
当初のAの相続税申告における相続税評価額が8000万円であり、Bは、その2分の1に当たる4000万円の支払いを受けたのだから、相続税の2分の1を支払わなければならないのでしょうか。
それとも、Bは、あくまで遺産である不動産の時価の4分の1しか受け取っておらず、残りの4分の3はAが相続しているので、相続税の4分の1だけを支払えばよいのでしょうか。
正解は、後者であり、Bは、相続税の4分の1だけを支払えばよいということになります。
私は、頻繁に遺留分侵害額請求事件を受任しますので、こうした事例によくぶつかるのですが、最初にぶつかった事例では、不動産の相続税評価額と死亡時の時価が大きくかけ離れていたので、依頼者が支払いを受けた遺留分侵害額の金額が、当初の相続税申告書の遺産の相続税評価額以上となってしまいました。
このとき調べたところ、遺産を時価で再評価して、遺留分侵害額を決めた場合は、その再評価額に対する支払いを受けた遺留分侵害額の割合で、相続税を負担すればよいことが分かりました。
ただ、このような内容の申告をするには、いろいろと条件がありますので、合意を成立させる前に、税理士とよく協議し、合意書の内容を決める必要がありますので、注意が必要です。
今年のコラムは、これが最後です。
1年間ありがとうございました。
良いお年を!
この記事を読んだあなたにおすすめの記事







