

相続の法律制度(民法と相続税法の相続財産を巡る取扱の違い等)について、弁護士が解説したアドバイスです。
市役所さん、それはやり過ぎでは!市役所から送られてきた納税督促
私は、月に1度、実家のある新潟市内の有料老人ホームで暮らしている母親に会うために、新潟市まで行っています。
上越新幹線に乗って行くのですが、最近は、指定席がいつも満席です。
大勢の外国人観光客が上越新幹線沿線の観光地に行くために新幹線を利用しているので、満席となっているようです。
先日も、新潟行きの新幹線に乗ったところ、大きなスノボを持っている白人の若者たち、白いスカーフを頭に巻いた女性たち、アジア系の家族連れなど、さまざまな外国人が乗っていました。
私の若いころの上越新幹線は、新幹線とはいえローカルな雰囲気でしたが、今は、国際色豊かな乗り物になりました。
さて、今回は、私の知人のところに某市役所から送られてきた納税督促のお話です。
私の自宅の近所に住むAさんから、こんな相談がありました。
私の叔母Bの一人娘であるCが亡くなったが、Cの住んでいた近県のX市の市役所から、私宛に未納の固定資産税等を支払うよう督促する電話があり、その督促状が送られてきた。
私は、自分がCの相続人になるのか、インターネットなどでいろいろ調べてみたが、私はCの相続人ではないと思う。
そのことを、X市役所の人から電話があった際に説明したが、それでも督促状が送られてきたので、支払わなければならないのか。
Aさんによると、叔母Bは、10年前に亡くなっており、その際、一人娘であるCがBの財産を全て相続し、Bの所有していた家にそのまま住んでいたそうです。
この説明が事実であるとすると、Aさんは、Cの相続人ではありません。
Cの法定相続人は、まず、Cの夫と子供(または直系卑属)ですが、Cは結婚しておらず、夫も子供もいないそうです。
このため、Cの両親(または直系尊属が)が相続人となりますが、これらの人たちは、全てCより先に亡くなっています。
そうすると、Cの兄弟姉妹が相続人となりますが、Cは一人娘ですから、兄弟姉妹はいません。
従って、Cには、相続人はいないことになりますが、CにはBから相続した不動産等の財産があるとのことですので、固定資産税等の未払いがあるのであれば、X市は相続財産清算人の選任を申し立てる必要があります。
しかし、Aさんに届いた督促状には、次のように記載されていました。
貴方の叔母・従妹にあたるB・Cにおかれましては、令和2年○月×日、令和5年○月×日に、お亡くなりになられていますが、別紙のとおり市税が未納となっているため、御遺族である貴方に納税義務が生じています。
これは、未納の税金も相続財産であり、家庭裁判所において相続放棄の手続きを行っていない限り、御遺族に納税義務が引き継がれるために生じるものです。
X市が、どこまで調べて上記のような督促状を送っているのか分かりませんが、上記の書き方では、まるでAさんが相続放棄手続きを取らない限り、Aさんに未納の固定資産税の支払義務があるように読めます。
X市の担当者は、いったいどういう考えで、Aさんに督促状を送ってきたのでしょうか。
単なる間違いだと思いますが、X市の担当者が、Aさんは相続人ではないかもしれないが、とりあえず督促状を送っておけば、払ってくるかもしれないなどと考えていたとすると、ひどい話です。
X市の担当者の話を聞いてみたいものです。
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大谷 郁夫Ikuo Otani・鷲尾 誠Makoto Washio弁護士
銀座第一法律事務所 http://www.ginza-1-lo.jp/
平成3年弁護士登録 東京弁護士会所属
趣味は読書と野球です。週末は、少年野球チームのコーチをしています。 仕事では、依頼者の言葉にきちんと耳を傾けること、依頼者にわかりやすく説明すること、弁護士費用を明確にすること、依頼者に適切に報告することを心がけています。
鷲尾 誠
平成4年弁護士登録 第二東京弁護士会所属
昨年から休日の時間がとれたときに自転車に乗っています。行動範囲が広がり、自然や店などいろいろな発見があります。仕事のうえでもますます視野を広げ、皆さまのお役に立つよう心がけたいと思っています。