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戦後の城南地区

福岡市は「太平洋戦争」で空襲を受け、都心部のほとんどを焼失するも、戦後、復興を遂げ、九州の中枢都市となった。その中で城南地区は、良質な環境の住宅地として発展、「福岡市動物園」「福岡市植物園」「友泉亭公園」など、住民の憩いの場となる公園・施設も整備された。近年は「福岡高速道路環状線」「福岡市地下鉄七隈線」などの開通による交通利便性の向上もあり、さらに快適に暮らせる街へと進化している。


「南公園」に「福岡市動物園」が開園

戦前の福岡市の動植物園は、1933(昭和8)年、「東公園」(現・博多区)内に開園したが、1944(昭和19)年に戦局の悪化で閉園となった。戦後、動物園を新たに「南公園」(現・中央区)内に設置することとなり、1953(昭和28)年に「福岡市動物園」が開園した。写真は開園翌年の園内の様子。手前が小鳥舎、奥がゾウ舎と思われる。 MAP __【画像は1954(昭和29)年】

現在は「アジア熱帯の渓谷エリア」の中にゾウ舎がある。2006(平成18)年より、「福岡市動植物園再生事業」によるリニューアルが20年計画で行われており、2013(平成25)年には「アジア熱帯の渓谷エリア」がフルオープンした。

正門右手にあった「壁泉園池」付近。写真は開園翌年の撮影。 MAP __【画像は1954(昭和29)年】

「壁泉園池」のあった場所は、その後「中央食堂」になっていたが、2018(平成30)年度に着工したペンギン舎のリニューアル・拡張に伴い閉鎖となり、2022(令和4)年に「ペンギンエリア」がオープンした。写真は2017(平成29)年の「中央食堂」。

1980(昭和55)年、中国広州市と福岡市の友好都市締結1周年を記念して、「広州動物園」からジャイアントパンダ2頭(オスのシャンシャン25歳とメスのパオリン17歳)が友好親善使節として来園、4月・5月の2ヶ月間にわたり一般公開を行ない、その間87万人以上が来園した。【画像は1980(昭和55)年】

パンダがいた場所は、現在のシマウマ舎がある場所で、「パンダ シャンシャン パオリン 公開記念」の碑が立っている。 MAP __

国鉄筑肥線の一部区間の廃止 MAP __

国鉄筑肥線は1937(昭和12)年に北九州鉄道が国有化されて誕生した路線。1983(昭和58)年3月、「博多駅」「姪浜駅」間は廃止、「姪浜駅」「唐津駅」間は電化されて、福岡市地下鉄空港線と相互直通運転を開始した。このとき、福岡市内では「西新駅」「鳥飼駅」「小笹駅」「筑前高宮駅」「筑前簑島駅」の5駅が廃止された。写真は廃止直前の1983(昭和58)年の「鳥飼駅」に到着した博多行きの気動車。【画像は1983(昭和58)年】

旧「鳥飼駅」周辺の国鉄筑肥線の廃止区間跡は、道路となっており、かつての駅舎付近には「城南区役所」が建てられている。

「福豊炭鉱」と「田島炭鉱」 MAP __(福豊炭鉱跡) MAP __(田島炭鉱跡)

エネルギー源確保のため石炭の生産が急がれた戦後復興期、都市部近郊においても炭鉱開発の試みが行われた。福岡市の城南地区においては、1948(昭和23)年に「福豊炭鉱」が、1951(昭和26)年に「田島炭鉱」が開坑。出炭量は「福豊炭鉱」が年産1~3万トン前後、「田島炭鉱」が年産1万トン前後と小規模であった。航空写真は1956(昭和31)年撮影のもので、左上に「福豊炭鉱」、右下に「田島炭鉱」の設備が見える。1957(昭和32)年頃から炭況が悪化したため、「福豊炭鉱」は1958(昭和33)年に、「田島炭鉱」はその翌年閉山となった。【航空写真は1956(昭和31)年】

現在「福豊炭鉱」の跡地は住宅地になっている。

「福豊炭鉱」と「田島炭鉱」を経営していた会社は、1960年代以降の石炭から石油エネルギーへの転換と高度経済成長期の都市化とモータリゼーションの流れの中、「田島炭鉱」の跡地に自動車学校を開校した。1994(平成6)年には大型ショッピングセンターとの複合施設として再整備され、屋上に教習コースが設けられた。

福岡市地下鉄七隈線の開通 MAP __(橋本駅)

福岡市西南部と都心部を結ぶ福岡市地下鉄七隈線は、2005(平成17)年に「橋本駅」~「天神南駅」間が開業。このうち、「六本松駅」~「渡辺通駅」までの区間は、「城南線」(福岡市道路愛称)の地下を通り、かつての西鉄福岡市内線城南線(路面電車)と同じルートとなっている。写真は「橋本駅」での一番列車出発式の様子。七隈線は鉄輪式リニアモーターシステムを採用しており、車両は小型化されトンネルの断面も小さい。線名となった「七隈」は路線の中間付近にある地名で、その由来は、交通の要衝を意味した「七車」か、七つの小高い丘(隈)があったことによるといわれる。2013(平成25)年には「天神南駅」~「博多駅」間の「七隈線延伸事業」が着工となり、2023年3月に開業が予定されている。 【画像は2005(平成17)年】


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