「土地活用」は、資産運用の基本的な知識を身に付け、税制や税法上の特例を理解したうえで、資産全体を総合的に把握することが大切です。また、立地条件や広さ・形等によってもベストな活用方法は異なります。本コンテンツは、土地活用のポイントをQ&A、ケーススタディで解説しています。
1
遊休地を保有している場合
Q7
定期借地契約で土地を賃貸しようと思っています。どのようなメリットがあるのか教えてください。
A
貸した土地は、定期借地契約の期間満了時に、更地で必ず戻ってきますので、地主が安心して土地を貸すことができます。
かつ、長期にわたり安定的な収入が期待されます。
解説
解説
1.定期借地契約
定期借地契約は、貸した土地が必ず戻ることが約束されていますので、契約期間満了時の立退料等も必要なく、地主が安心して貸すことができる契約のひとつといえます。
具体的には3つの特約が認められています。
(1) 契約の更新がない
契約の更新は一切なく、確実に契約関係が終了します。
(2) 建替えによる借地期間の延長がない
契約期間中に建替えがあっても当初定めた契約期間が満了すれば土地が返ってきます。
(3) 建物買取請求権がない
契約期間満了時に、借地人保有の建物を地主に買い取ることを請求できません。基本ルールは借地人が建物を撤去し土地を原状回復して返還することになります。
2.定期借地権の種類
定期借地権は3種類あり、次のように活用されています。
(1) 一般定期借地権
契約期間は50年以上です。もっとも活用されており、戸建住宅やマンションの居住用等に活用されています。
(2) 事業用定期借地権
もっぱら事業の用に供する建物(居住用を除く)の所有を目的に、契約期間は10年以上50年未満として契約します。商店街、幹線道路沿いなどの事業に適した土地が、スーパーマーケット、ファミリーレストラン、コンビニエンスストア等に活用されています。
(3) 建物譲渡特約付借地権
借地権設定後30年以上経過した日に、地主が借地人から借地上の建物を買い取ることを約束した借地権です。借地権を消滅させるため、30年以上経過した日に相当の対価で建物を地主に譲渡する特約を結びます。
定期借地権の種類
3.地主のメリット
(1) 地代収入
一般的に1年間の地代収入は土地の時価の数%ですが、長期にわたり安定的な収入が確保されます。ただし、多額な地代収入は期待できません。
事業用定期借地権の場合は、事業者がその土地からあげる収益に応じて地代水準が決まると思われますので、一般定期借地権以上の収入が期待できます。
(2) 定期借地契約時の一時金
定期借地契約時に一時金を授受できます。一時金の種類には、保証金、敷金、権利金、前払地代などがあります。高額な一時金を受け取ると賃料は低くなる傾向にあります。
預り金である保証金や敷金以外の権利金、前払地代は課税の対象になります。
戸建住宅やマンションの居住用等に活用する一般定期借地権の場合は、保証金方式が主流になっています。
賃料の1~2年分と比較的少額となります。
定期借地権の権利設定の対価として授受されます。
一定期間だけの前払い、全期間の前払いのいずれかを選択することが可能です。
(3) 相続税評価
定期借地契約で貸している土地についても、相続税評価においては、貸宅地(第三者に貸し付けている宅地)となります。自用地(更地)の場合と比べ相続税の評価額が下がります。
ただし、一定期間後には返却される土地ですので、通常の貸宅地よりも評価減の幅は小さくなります。また、返却時期が近づくごとに、評価減の幅も徐々に縮小されていきます。