

家づくりの「心」を「かたち」に、具体例を交え心の家づくりを解説した一級建築士のアドバイスです。
住まいの印象を高める、玄関まわりのエクステリア計画
エクステリアとは、インテリアに対する言葉で、建物の外側にある構造物や空間を総称する言葉です。門扉やフェンス、玄関アプローチ、カーポート、テラス、ウッドデッキ、植栽(庭)などが含まれます。
こうした外構の費用は、使用する素材やデザイン、外構面積などによって大きく変わります。
住宅の設計では、平面計画と同時に外構計画も進めていきます。しかし、建物本体に予算がかかり、外構まで十分な予算が回らないことも少なくありません。
それでも、室内空間と外部との関係は、住まいの質を高めるうえでとても重要です。すべてを建物の完成時に仕上げなくても、1年後、2年後と時間をかけながら外構を整え、理想とする住まいに近づけていく方法もあります。
今回は、住まいの「顔」ともいえる玄関まわりを中心に、門扉の特徴や費用の目安、玄関アプローチの仕上げ、植栽・照明計画で注意したいポイントを紹介します。
門扉の素材と選び方
建物の配置計画や平面計画が決まると、玄関アプローチや門扉をどのように計画するかも考える必要があります。門扉だけでなく、郵便ポストやインターホンなどをどこに組み合わせるのかも、あわせて確認しておきたいところです。
まず、門扉の代表的な素材と特徴を見てみましょう。
| 素材 | 特徴 |
|---|---|
| アルミ製 | 軽量で開閉しやすく、腐食や錆に強い。メンテナンスがしやすく、製品コストも比較的抑えやすい。 |
| ステンレス製 | 強度があり、腐食や錆に強く、メンテナンスがしやすい。アルミと比べると独特の重厚感や質感がある。 |
| スチール製 | 比較的手頃な価格。錆を防ぐための塗装など、定期的なメンテナンスが必要。 |
| 木製 | 天然木ならではの風合いや質感がある。腐食を防ぐための塗装など、定期的なメンテナンスが必要。 |
| 人工木・樹脂製 | 木粉入りの樹脂などを用いた製品。天然木に近い見た目を持ちながら、耐久性が高く、比較的メンテナンスしやすい。 |
アルミ製とスチール製のデザイン
アルミ製やスチール製の門扉には、形材を使ったものと鋳物があります。
形材は、一定の断面形状に成形された金属材料で、縦格子や横格子など直線的ですっきりしたデザインに向いています。一方、鋳物は溶かした金属を型に流し込んでつくるため、植物を模したラインなど細かな曲線を表現することができ、洋風の建物にもよく使われます。
住宅の門扉でよく用いられるのはアルミ製です。一般的なサイズを想定した場合、開閉方法による工事費用(材料費+工事費)の目安は次のようになります。
| 開き方 | 費用の目安 |
|---|---|
| 片開き | ~約25万円 |
| 両開き | ~約50万円 |
| 親子開き | ~約40万円 |
| 引き戸 | ~約50万円 |
※1つの扉の大きさが幅800mm×高さ1000mmの場合。親子開きは小さい方を400mmとして想定。
いずれもサイズやデザイン、メーカー、取り付ける金物、地域などによって費用は変わります。
玄関アプローチの仕上げと注意点
玄関アプローチとは、道路から玄関に至るまでの通路と、その周辺を指します。門扉や玄関アプローチは、まさに家の「顔」といえる場所です。
落ち着きや温かみのある雰囲気をつくるためには、デザインだけでなく、足元に使う材料の特徴を知っておくことも大切です。主な仕上げには、タイル、レンガ、洗い出し、コンクリートなどがあります。
| 材料 | 特徴 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| タイル | 風雨による腐食や傷に強い。濡れると滑りやすいものもあるため、玄関アプローチでは滑りにくいタイプを選ぶ。 | 3万円/㎡ |
| レンガ | タイルと比べて風化しやすいが、レンガ自体や下地が水を吸うため滑りにくい。 | 3万円/㎡(砂敷き工法)4.5万円/㎡(モルタル固定工法) |
| 洗い出し | モルタルなどが完全に固まる前に表面を水で洗い流し、中の小石や砂利を露出させる仕上げ。表面がざらつくため滑りにくい。 | 5万円/㎡ |
| コンクリート | 駐車場などにも使われる、強度の高い仕上げ。 | 1.5万円/㎡ |
このほか、枕木風の材料やインターロッキング(コンクリートの長方形状のブロック)、石材などを使う方法もあります。
道路とつながる場所だからこそ、設備位置を確認する
当たり前のことですが、玄関アプローチの多くは道路とつながっています。そのため、道路から宅内へ水道管やガス管、電気などの引込設備が入ってきます。
たとえば、水道のメーターボックスが玄関アプローチの目立つ場所に設置されているケースを見かけます。平面計画の段階で設備位置を図面にきちんと表示し、外構計画とあわせて検討していれば避けられることもあります。工事の段階になって初めて位置関係に気づくと、仕上げ や動線との調整が難しくなり、きれいに納めにくくなります。
水道メーターだけでなく、ガスメーターや電気の引込線などについても、建物と外構を別々に考えず、早い段階から確認しておくことが大切です。
植栽は「10年後」をイメージする
植栽計画で意識したいのは、室内からどのように見えるかという視点と、10年後に樹木がどのように成長しているかをイメージして樹種を選ぶことです。
玄関アプローチでは、道路際から玄関へ向かうにつれて、高木、中木、低木と高さに変化をつけ、玄関前では低木によって足元に落ち着きをつくるなど、見える順番を意識すると奥行きのある外部空間になります。
照明は明るくしすぎない
玄関まわりの照明では、防犯を意識するあまり、全体を明るくしすぎてしまうことがあります。
ただ明るくするのではなく、適度な明るさと暗がりを残してメリハリをつけることで、夜の玄関まわりに落ち着きや高級感を演出できます。温かみのある光を使う場合には、色温度3,000K程度もひとつの目安になります。
また、照明器具だけでなく、外部コンセントの位置についても外構計画の段階で確認しておきましょう。
建物と外構を一緒に考える
エクステリアは、建物が完成してから考える「付け足し」ではありません。
道路から玄関までどのように歩くのか。門扉を開けたときに何が見えるのか。室内からどのように植栽が見えるのか。そして、夜になったときに照明がどのように外部空間を照らすのか。
こうしたことを建物の平面計画と同じ段階から考えておくことで、室内と外部につながりが生まれ、住まい全体の雰囲気や空間の質を高めることができます。
予算の都合ですべてを一度に完成させることが難しければ、将来の計画を見据えて準備をしておき、少しずつ理想の外構をつくっていく。それも住まいづくりのひとつの方法ではないでしょうか。
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佐川 旭Akira Sagawa一級建築士
株式会社 佐川旭建築研究所 http://www.ie-o-tateru.com/
「時がつくるデザイン」を基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマに個人住宅や公共建築等の設計を手がける。また、講演や執筆などでも活躍中。著書に『間取りの教科書』(PHP研究所)他。






