

家づくりの「心」を「かたち」に、具体例を交え心の家づくりを解説した一級建築士のアドバイスです。
中古物件を購入して、リフォームで自分のスタイルに変えて住む
品質の良い中古物件が増えてきた
近年、首都圏はもちろん、地方都市においても地価の上昇が続いております。さらに建築資材や人件費の高騰もあり、以前から比較すると住まいを求めるハードルは確実に上がっています。
そうした背景から、近年は中古住宅への関心が高まっています。住宅金融支援機構が公表した2020年の調査によると、1年以内に住宅取得を検討している人を対象に行ったアンケートで、リフォーム済みの中古住宅の購入に「関心がある」と回答した人が約7割にのぼりました。この傾向はさらに増加するのではないでしょうか。
また、集合住宅の市場においても、築41年以上のマンションは全体の22.7%を占めています。10年前まではわずか2.8%でしたので、約20%も増加したのです。つまり、安価に購入できる選択肢が増えてきたということです。
戸建て住宅も、以前までは品質の良い中古物件がありませんでした。しかし2000年に施行された「品確法」に沿って建てられた住宅は、ある一定の品質が確保された住宅となります。25年以上が経過し、市場に出回るようになってきたのです。
そこで今回は中古マンションを購入し、「終の棲家」へリフォームした実例を紹介します。
実例紹介
・場所:首都圏
・築年数:27年
・床面積:100㎡(4LDK)
・家族構成:60歳代の夫婦2人。
リフォームにあたっての希望
・居室が西向きのため、夏の暑さ対策を検討してほしい
・収納スペースを上手く計画してほしい
・趣味のお茶ができる茶室をつくってほしい
・キッチンからのにおいや音がリビング・ダイニングへ行かないよう、扉や引き戸で対応してほしい
・子供が巣立ち、夫婦二人になったので部屋数を減らし、より大きなスペースで全体をまとめてほしい
・洗面所はゆったりできるスペースを確保してほしい
提案
夏の西日対策として、すべての窓に「内窓」を設けました。内窓のガラスは断熱性能が高い「アルゴンガス入りLow-E複層ガラス」を採用しました。
趣味の茶室をすべて「本物の素材」を採用し、間取りとしては全体の中央に配置。パブリックゾーンとプライベートゾーンを分ける役割も果たします。
4LDKの間取りから1LDKとなる構成とし、1LDKの広さはキッチンと茶室まで含めると約26畳の広さとなりました。
一方でプライベートゾーンは寝室と書斎を兼ねており、今後のライフスタイルの変化に対応するために、家具を自由に配置が出来るようにしました。
希望をとり入れ改修した箇所
マンション改修にあたってのアドバイス
一般に設備機器の交換程度であれば、浴室でも長くて4~5日で済みます。しかし間仕切り壁を全て壊して間取りの変更となると、少なくとも2ヵ月、長ければ4ヵ月程かかります。
中古物件を購入してのリフォームであればいいのですが、仮に「住みながら」となるとストレスが溜まり苦労します。今回の改修工事は約4.5ヶ月掛かりましたので、仮住まいとして賃貸マンションに住んでもらい工事を行いました。
解体費は階数や作業時間、駐車場の利用などによっても変わりますが、一般に「5~7万円/坪」程度をみておきましょう。
本体の工事金額は、当然グレードの高い材料や設備機器を採用すれば高くなります。一般的は「55~70万円/坪」の範囲で予算をたてて下さい。この他に建築家等に依頼すれば、設計・監理費が工事量に対して10~12%を目安に掛かることを考えでおきましょう。
また、マンション自体の規則によっても工事費が変わる場合があります。具体的には作業時間や養生の制限等で工事日数が嵩み、より費用が掛かる可能性も考えられます。
マンションの改修工事のおもしろい所は、構造躯体がコンクリートになるので、「内部をかえる」ということが、「ほぼ新築」となることです。中古マンションを購入し、自分のライフスタイルに応じて変化させると、より愛着が湧いてきます。
築年数をどの位まで考えて購入するか、どんなリフォームができるかなど、専間家に相談しながら進めるとベストでしょう。
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佐川 旭Akira Sagawa一級建築士
株式会社 佐川旭建築研究所 http://www.ie-o-tateru.com/
「時がつくるデザイン」を基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマに個人住宅や公共建築等の設計を手がける。また、講演や執筆などでも活躍中。著書に『間取りの教科書』(PHP研究所)他。






