

家づくりの「心」を「かたち」に、具体例を交え心の家づくりを解説した一級建築士のアドバイスです。
家づくりの流れ、ここでお金が必要です
どのタイミングでお金を支払う?
「家づくり」は夢を形にするもので、とても楽しくてワクワクするものです。家族にとっては一大事業です。一方で、やはり気になるのはどのくらいの費用が掛かり、どの時点でいくら支払うか等も、初めて家をつくる人にとってはわからないことでしょう。
「自己資金としていくらあれば良いのか」、「住宅ローンのお金が支払われるまでの『つなぎ資金』はどうするのか」といった疑問や不安を家づくりの流れに沿ってアドバイスをしていきます。
準備・計画

情報を集める
インターネット、住宅情報紙、住宅展示場
資金計画を立てる
自己資金は総費用の3割を目安にする
ここでのアドバイス
建築本体工事費は延床面積に坪単価を掛けて算出するのが一般的に行なわれます。しかし、ベランダやウッドデッキ、玄関アプローチなど実際に施工する床面積に坪単価を掛け、予算組みをしておいた方が実際の工事価格に近い金額で算出されます。

調査・設計

土地をさがす、購入する
売買契約時に手付金、契約後に残金を支払う。
所有権移転登記費用がかかります。
土地の地盤調査
仮に古家付の土地を購入したのであれば、解体後に調査、解体費用は販売条件によります。地盤調査費用は5万円前後。
依頼先を決める
建築家であれば設計料の20~30%の着手料を支払う。ハウスメーカーであれば工事費の2%程度の着手料を支払う。工務店であれば特段着手料はありませんが、あらかじめ確認しておいた方がよいです。
建築確認申請書類を提出
どんな建築物を建てるのかを審査機関に必要書類を提出して許可を受ける必要があります。申請料は建物の大きさにもよりますが3万円以内を目安に。
ここでのアドバイス
気に入った土地を探すのにはそれなりに時間がかかります。土地探しには余裕あるスケージュールを組むことです。仮に地盤が悪いと、30~35坪位の延床面積の家で地盤改良工事費が70~100万円前後です。
依頼先をどこにするかで、進め方がまったく変わってきます。建築家に依頼すれば設計費用(建築工事費の12%前後)がかかりますが、施主の代理で計画も整理もされるため、とても質の高い家づくりができると思われます。ハウスメーカー、工務店の場合は設計・施工が同じ会社になるため、第三者的な視点がないのが建築家に依頼することと大きな違いになります。

契約手続き

工事請負契約
建築家に依頼した場合は図面と見積り金額が適正かどうかをチェックしたうえで、施工会社を決定します。仮に予算オーバーをした場合は、設計変更などをして予算内に納めることもあります。
住宅ローンの申請
住宅ローンの申請は設計プランが決まってから申請します。ローン契約の印紙税、手数料、保証料の費用がかかります。
ここでのアドバイス
家づくりにあたり、最も大きな金額を占めるのが建築工事費です。この費用は一般的に工期にあわせて3回、もしくは4回位に分けて支払います。住宅ローンのお金が振り込まれるまでは自己資金を使うことになります。この辺りはしっかり確認して準備をしておくことです。仮に不足する場合は、施工会社に予め相談して支払える金額を決めておくとよいでしょう。

工事

地鎮祭と着工
近隣へのあいさつ、(1000~1500円程度のお菓子等)地鎮祭は神主さんへの謝礼と神棚への供え物を含めて5万円前後をみておくことです。着工前後に1回目の建築工事費支払いがあります。
上棟式
職人への労いや工事の安全を祈願します。職人への御祝儀などを含めて8~10万円の予算をたてておきましょう。工事契約にもよりますが、2回目の建築工事費支払いをする場合もあります。
竣工
建築事務所による検査とさらに施主検査を行います。
ここでのアドバイス
着工してから上棟式までは約2ヵ月、上棟から竣工までは約3ヵ月程度の工期です。
工事中は現場に行って仕様を変更することがあるかも知れません。増額工事及び減額工事を確認して、工事を進めるようにして下さい。また、現場では直接職人に変更工事を依頼せず、必ず現場責任者に相談して下さい。

竣工・検査

竣工検査
審査機関に申請図面通りか、また建築違反がないかを確認してもらい、問題がなければ「検査済証」が発行されます。その際審査費用がかかります。(3万円以内)
引き渡し
建物引き渡し確認書に署名捺印、鑢や各設備の保証書、取扱説明書などを受け取ります。建築工事費及び設計費の残金を引き渡し日までに支払います。
ここでのアドバイス
住宅は「引き渡した後から施工会社と本当のつき合いが始まる」と言われています。少なくとも住宅は30~40年と建っている訳ですから、必ずメンテナンスが必要になってきます。工事中も含めてしっかりと信頼関係を築いておくことです。

完成・引越し

登記手続きと住宅ローン契約
土地や建物に登記費用がかかります。その他に不動産取得税の納付、住宅ローン融資受け取りの事務手数料と印紙税があります。
引っ越しと近隣へのあいさつ
必要に応じて家具、家電、カーテンブラインドの購入、引っ越し費用と近隣へのあいさつ
ここでのアドバイス
建物の竣工は12月、または3月あたりが多いように感じます。3月の引っ越しは繁忙期で高めです。また、前面道路の幅が狭かったりすると小型トラックしか使えないということでさらに割高になります。引っ越し費用は相見積もりをとり、比較検討して下さい。
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佐川 旭Akira Sagawa一級建築士
株式会社 佐川旭建築研究所 http://www.ie-o-tateru.com/
「時がつくるデザイン」を基本に据え、「つたえる」「つなぐ」をテーマに個人住宅や公共建築等の設計を手がける。また、講演や執筆などでも活躍中。著書に『間取りの教科書』(PHP研究所)他。






