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木を切ってもらえますか?越境していない樹木の伐採義務
都内のマンションの価格がやや落ち着きを見せてきましたが、日経平均は6万円を超え、史上最高値となっています。
しかし、株式市場の状況をよく見てみると、銀行、自動車、商社などの日本を代表するような企業の株価は、それほど業績が悪くないのにかなり苦戦していて、一部のAI関連の値がさ株の、株価の驚異的な上昇が、日経平均をけん引しています。値上がり銘柄数という点で見ても、明らかに値上がり銘柄数が少ないのに、日経平均が上昇しています。そういう意味では、少し歪な相場になっているようで、危うい感じがします。
AI関連の値がさ株の株価の上昇が一服し、銀行、自動車、商社などの日本を代表するような企業の株価が徐々に上昇するようになれば、日経平均の史上最高値も、本物のように思えます。
さて、本日は、とても珍しい隣人からの苦情のお話です。
私の知り合いの大家さん(Aさん)は、都内にいくつか小ぶりな1棟マンションを所有していますが、その中の1棟のマンションの、隣のマンションの住人から、ちょっと珍しい苦情を受けました。
Aさんのマンションは3階建てであり、また、隣のマンションも3階建てなのですが、両方のマンションの窓が向かい合っているため、お互いの部屋が丸見えの状態でした。
そこで、Aさんは、自分の敷地の中に樹木を植え、ちょうど両方のマンションの窓と窓の間に樹木の枝葉が広がるようにして、お互いに相手の窓の中をみえないようにしました。
Aさんとしては、もちろん、自分のマンションの3階の入居者のプライバシーを守るためだったのですが、これによって、隣のマンションの3階の住人のプライバシーも守られるので、この樹木は、双方にとって役に立つものになるはずでした。
ところが、隣のマンションの3階の住人から、Aさんのマンションの管理会社に、「樹木の枝葉の中に、鳥が巣を作っていて、鳴き声がうるさい上、羽などのごみが舞って、自分の部屋の窓の中に入って来るので、鳥の巣ができないように、樹木を伐採してほしい。」という苦情がきました。
管理会社の担当者は、「めちゃくちゃ言うな~」と思いましたが、「一応、所有者に確認してみます。」と答え、Aさんに苦情を伝えました。
この苦情を聞いたAさんは、どうしようか迷ったうえ、私に電話をかけてきて、どうしたらいいのか相談しました。
このような場合、Aさんには、樹木を伐採する義務があるのでしょうか。
Aさんに聞いたところによると、Aさんのマンションの敷地内の樹木の中に、確かに鳥の巣があり、たくさんの鳥が出入りしていますが、枝葉が隣のマンションの敷地内に越境しているわけではありません。
樹木の枝葉が越境しておらず、しかも、問題を起こしているのは野鳥であり、Aさんの所有物ではありませんので、Aさんの所有物が、隣のマンションの住民に迷惑をかけているわけではありません。
このように考えると、Aさんには、樹木を伐採する義務はないのではないかと考えられます。
しかし、Aさんのマンションの敷地内に樹木がなければ、鳥は巣を作ることができず、また、都会では、わずかな樹木があれば鳥が巣を作ることは、ある程度予見できるので、隣のマンションの住人に何らかの損害があれば、Aさんが樹木を植えたことと損害と間に、因果関係がないとも言い切れません。
もちろん、このように考えても、Aさんには、損害賠償義務があるだけで、樹木を伐採する義務まではないように思えます。
私としては、Aさんに即答することができず、一応裁判例がないか調べてみようと思い、「調べてみますので、少し時間をください。」と言って、電話を切りました。
ところが、その数日後、再度Aさんから電話があり、「樹木を伐採することにしたので、この前の問題は解決しました。」と言われました。
私が、「どうなったのですか。」と聞くと、Aさんは、「実は、私のマンションの3階の入居者に聞いたところ、その入居者から、『鳥の声がうるさくて困っており、できれば樹木はない方がいいと思っていた。』と言われました。私が、『丸見えになるがいいか?』と聞いたところ、入居者は、『特に気にしない。』と言っていました。それで、樹木を切ることにしたのです。」と説明してくれました。
Aさんが、良かれと思って樹木を植えたことが、鳥のせいで、両方のマンションの住人の迷惑の種になってしまったのです。
私としては、裁判例を調査する手間が省けて良かったのですが、少し気になるので、時間のある時に裁判例を調べてみたいと思っています(と言いながら、いつも忙しくて忘れてしまいます)。
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大谷 郁夫Ikuo Otani弁護士
銀座第一法律事務所 http://www.ginza-1-lo.jp/
平成3年弁護士登録 東京弁護士会所属趣味は読書と野球です。週末は、少年野球チームのコーチをしています。
仕事では、依頼者の言葉にきちんと耳を傾けること、依頼者にわかりやすく説明すること、弁護士費用を明確にすること、依頼者に適切に報告することを心がけています。







