

賃貸経営をされている方にお役に立つ法律について、最新判例等を踏まえ弁護士が解説したアドバイスです。
管理会社への送金をストップしてください!
管理委託契約を解除された管理会社への保証会社からの賃料の送金
今回の総選挙は、与党の圧勝となりました。
前回のコラムの冒頭で、オールドメディア民とネット民で、投票行動が異なってくるのではないかと書きましたが、その通りになったようです。
選挙戦の最中、SNSでは、首相や与党を支持する投稿が、怒涛のごとくアップされていました。首相を批判する内容の投稿が出ても、翌日には、その何十倍もの投稿で押しつぶされていました。SNSの世界では、与党の勝利は、ほぼ確実に見えました。
しかし、ネットを見ない人たちにとっては、こうしたネットの状況は、存在しないのと同じです。ですから、選挙戦終盤に、オールドメディアから与党圧勝の勢いという報道が出ても、ピンとこなかったのではないでしょうか。
野党の党首の選挙後の「ガチンコでぶつかって負けた気がしない。」という言葉が、この状況を物語っているように思います。
さて、今回は、管理委託契約を解除された管理会社への保証会社からの賃料の送金のお話です。
私の知り合いの大家さんのAさんは、都内に複数のアパートを所有し、毎月200万円ほどの賃料収入を得ていますが、貸している部屋の入居者には保証会社と保証契約を締結してもらっています。
このため、Aさんが賃料収入を手にするまでのお金の動きは、次のようになっています。
まず、全ての入居者は保証会社に毎月末日までに翌月分の賃料を支払いますが、保証会社は、家賃保証をしていますので、仮に一部の入居者に滞納があったとしても、Aさんが管理を任せている管理会社であるB社の預金口座に毎月末に翌月分の賃料全額を送金します。
そして、B社は、翌月の10日に、保証会社から送金を受けた賃料から管理委託報酬や諸費用を差し引いた残金を、Aさんの預金口座に支払います。
このようなお金の流れですので、Aさんとしては、家賃の回収ができなくなるような事態は起こらないものと安心していました。
ところが、盲点だったのが、B社の資金ショートです。
B社の事業からすると、あまり大きな損失がでるようなリスクはないはずですが、何があったのか資金ショートしてしまったようで、1月末に保証会社から2月分の賃料の入金があったにもかかわらず、Aさんには送金してきませんでした。
Aさんは、すぐにB社の社長と連絡をとり、直ちに送金するように要求しましたが、B社の社長は、謝罪はするものの「待ってほしい。」と言うだけで送金はしてきませんでした。
Aさんは、保証会社がB社に3月分の賃料送金をするのが2月27日なので、このままだと、保証会社が3月分の賃料をB社に送ってしまい3月分の賃料も回収できなくなってしまうのではないかと心配になり、B社の社長と話した後に保証会社に送金を止めるように連絡したそうです。
これに対して、保証会社の担当者の回答は、既に銀行に送金の依頼をかけているので、もう止めることはできないというものでした。
困ってしまったAさんは、私のところに相談に来ました。
私としては、保証会社の対応を変えられるか自信がありませんでしたが、まず、保証会社と賃借人の保証契約の内容を確認しました。
この契約書では、保証会社は、賃貸人あるいは賃貸人の指定する管理会社の口座に家賃を入金するという規定になっていましたので、Aさんに対し、まず、B社との管理委託契約をB社の債務不履行を理由に直ちに解除してもらい、その上で、保証会社に対し、B社は既にAさんとの管理委託契約を解除され、管理会社ではなくなったので、賃料の送金を止めるように通知を出し、さらに、B社の担当者に電話連絡して、同様の申し入れをしました。
しかし、保証会社の担当者の回答は、Aさんに対する回答と同じで、既に銀行に送金の依頼をかけているので、もう止めることはできないというものでした。
もし保証会社が3月分の家賃もB社に送金し、AさんがB社から回収できなくなった場合、その損害の賠償を、保証会社に求めることができるのでしょうか。
B社は既にAさんとの管理委託契約を解除され、管理会社ではなくなっており、また、保証契約を確認しても、賃料の送金先の変更あるいは停止について、時間的な制約は定められていませんでした。
果たして、このような場合でも、既に銀行に送金の依頼をかけていてもう止めることはできないというのは、保証会社の責任を否定する理由になるのでしょうか。
本当に送金を止めることが不可能だというのであれば、保険会社に責任と問うことはできないように思えますが、単に手続きが面倒だと言うだけの場合、送金の停止と理由を事前に知らせたにもかかわらず、送金を止めなかった保証会社に責任がないといえるのでしょうか。
仮処分をかけることも考えましたが、費用対効果や手順の面倒さから、本人も希望しないということだったので、保証会社の対応を見守ることにしました。
保証会社がB社に送金をする日になると、Aさんから電話で、何と2月分と3月分の全額がB社からAさんの口座に振り込まれたという報告がありました。
この報告を受けて、私も、面倒なことにならなくて良かったと、ホッとしました。
今回は、事なきを得ましたが、既に銀行に送金の依頼をかけていてもう止めることはできないというのは、本当なのか、また、それは、保証会社の責任を否定する理由になるのか、一度調べてみたいと思います。
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大谷 郁夫Ikuo Otani弁護士
銀座第一法律事務所 http://www.ginza-1-lo.jp/
平成3年弁護士登録 東京弁護士会所属趣味は読書と野球です。週末は、少年野球チームのコーチをしています。
仕事では、依頼者の言葉にきちんと耳を傾けること、依頼者にわかりやすく説明すること、弁護士費用を明確にすること、依頼者に適切に報告することを心がけています。







