地形や歴史からひもとく防災情報

美しい都市景観も魅力の国際的な港湾都市、
神奈川県横浜市の防災情報

町田東急ツインズ

神奈川県東部に位置する横浜市は、18区からなり、県面積の約18%を占めます。商業施設も多い大都市でありながら、横浜港周辺の臨海部の風景や歴史的建造物の多さなど、観光地としても高い人気を誇ります。
市内には56の河川が流れ、坂や傾斜地が多く、起伏に富んだ複雑な地形をしています。臨海部や河川の沿岸では高潮や洪水に注意が必要です。また、丘陵・台地と低地の境では土砂災害にも注意が必要です。

INDEX

地形で見る横浜市

横浜市の土地条件図(凡例はこちら
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ

横浜市は、東部は下末吉台地、中央部は多摩・三浦丘陵が縦断、西部は相模原台地により形成されています。臨海部は低地の埋立地となっており、市内は起伏に富んでいます。

土地条件図では、埋立地の臨海部は、白地に赤い斜線で覆われています。これは約2m以上盛土した「人工地形(高い盛土地)」です。少し内側に入ると、白地に赤い破線で覆われたエリアがあります。これは「人工地形(盛土地・埋立地)」で、低地に土を盛って造成した平坦地や、水部を埋めた平坦地を表しています。臨海部の内側や、北側のオレンジ色の部分に下末吉台地があります。下末吉台地は、起伏の大きな台地のため、台地とは言え、土砂災害等への注意が必要です。

中央部は多摩・三浦丘陵が縦断しています。坂や傾斜地が多く起伏に富んだ複雑な地形であることが、土地条件図からもわかります。緑色に塗られたエリアは、丘陵または台地の縁などの傾斜地「山地斜面等」です。その周辺には、白地に青い破線の「人工地形(切土地)」と、「人工地形(高い盛土地)」「人工地形(盛土地・埋立地)」が入り混じっています。
「人工地形(切土地)」は、山地などの造成地のうち、切取りによって平坦地や傾斜地を人工的に成形したものです。丘陵地では、豪雨時の斜面崩壊等への注意が必要です。

西部は相模原台地により形成されています。オレンジ色が「台地・段丘」を表しています。地震が発生した際に揺れが増幅されにくいという特徴があります。薄い茶色で塗られたエリアは「凹地・浅い谷」です。台地・段丘や扇状地などの表面に形成された浅い流路跡や侵食谷で、豪雨時に地表水が集中しやすい特徴があります。

横浜市(全体)防災マップ

横浜市「地震マップ」(横浜市ホームページより引用)
横浜市「地震マップ」(横浜市ホームページより引用)

横浜市では、防災に役立つ情報をまとめた「わいわい防災マップ」を公表しています。市民の防災意識の向上を図るためのもので、地震などの被害軽減対策を行なうために必要な情報を、WEB上での簡単な操作で知ることができます。表示マップにおける地震の種類は、元禄型関東地震(相模トラフ沿いを震源とするマグニチュード8.1の地震)、東京湾北部地震(マグニチュード7.3の首都直下型地震)、南海トラフ巨大地震(内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討会」で検討対象となっているマグニチュード9クラスの地震)の3つです。それぞれの地震が発生した際の各エリアにおける震度、液状化危険度、焼失棟数などの想定を確認することができます。表示マップは「土砂災害」「津波浸水予想区域」「洪水、内水、高潮浸水想定区域」も用意されています。

また、横浜市では、洪水、内水、高潮の3つのハザードマップからなる「浸水ハザードマップ」を18の区別に公表しています。「洪水ハザードマップ」は、想定し得る最大規模等の降雨により河川が氾濫した場合に、想定される洪水浸水想定区域及び水深を表示しています。マップ上には避難所などの情報も記されています。「内水ハザードマップ」は、1時間あたり153mmの想定し得る最大規模の降雨によって、下水道管や水路からの浸水が想定される区域や浸水する深さの情報をまとめたマップです。「高潮ハザードマップ」は、想定し得る最大規模等の高潮が起きた場合の高潮浸水想定区域及び想定される水深を表示しています。

横浜市の取組み

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横浜市では、年齢や目的に合わせて防災知識を効率よく学習できる「よこはま防災e-パーク」を公表しています。1本3分の動画で、防災の基本的な知識を手軽に学習できる「3分シリーズ」、未就学児、小学生、中学生など成長段階に応じて、楽しみながら防災を学べる「こども」コース、災害時に自宅の危険がないか、大地震への備えの状況や火災の危険性を診断できる「住宅防災診断」など、6つのコースが用意されています。各コースを修了すると、修了証をダウンロードできるなど、達成感を味わいながら学習できる工夫が施されています。

また、横浜市では、防災に対して一歩踏みだすきっかけを提案する「防センアカデミー」を実施しています。危機管理教育研究所認定防災クッキングアドバイザーを招いて、被災時でも手軽に作れる軽食を学ぶ「防災食クッキング」や、実際の体験談から防災に関する知識を得る「防災講話」、横浜市消防音楽隊によるコンサートなど、楽しみながら防災について学ぶことができます。

横浜市の地域別概要

横浜市ゾーン図(「横浜市都市計画マスタープラン」より引用)

横浜市は、都市計画上のマスタープランにおいて、市を4つのゾーンに区分しています。

横浜駅周辺
横浜駅周辺

「都心部(横浜都心、新横浜都心)」は高次の業務、商業、文化、観光、交流などの機能が集積しています。広域的な商業施設、業務機能、医療・福祉機能などが集まっています。市内で最も人口や都市機能が集中しているゾーンであり、防災面では主要な公共施設や災害時に重要な役割を担う民間の施設などの耐震化が進められています。また、大規模災害時に大量に発生することが予想される帰宅困難者への対策も課題です。

臨海部の風景(桜木町駅周辺)
臨海部の風景(桜木町駅周辺)

「臨海部」には、国際貿易港である横浜港があるほか、エネルギー関連産業、製造業、研究機関などが集積しています。工業地は近年、生産拠点の移転・集約化などに伴う空洞化の進行や、工場以外の用途への土地利用転換に伴う操業環境への影響が懸念されています。横浜都心とつながる内港地域では、都心における機能を一部分担しながらの土地利用の再編が進行中です。防災面では、石油コンビナートが立地し、危険物も貯蔵されているため、地震や津波による工場の被災、石油タンクの倒壊、油の流出などを回避する対策が進められています。

戸塚駅周辺
戸塚駅周辺

「都心・臨海周辺部」は、都心などへのアクセス性が高いという特徴がある一方で、住戸密度が高く、木造建築物が密集した防災性に課題がある地区が点在しています。建築物の不燃化・耐震化を推進し、狭あい道路の拡幅・オープンスペースの確保など、災害に強い良好な住環境の整備が進行中です。「郊外部」は「戸塚駅」周辺、港北ニュータウンセンター、「二俣川駅」周辺、「鶴ヶ峰駅」周辺など生活拠点としての機能が充実したエリアがあります。一部地域では、狭あい道路の拡幅などで防災性や住環境の向上を推進しています。



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