建築条件付土地の売買契約とは
相談事例
住宅を建てるための土地を探していたところ、「建築条件付土地」というものを見つけましたが、どのような土地なのですか。また、この土地を購入する場合には、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
解説
1 建築条件付土地の売買契約とは
一般的に、建築条件付土地とは、買主が、売主または売主が指定する建設業者との間で、一定期間内(例えば、売買契約締結日から3か月以内)に、土地上に建築する建物についての工事請負契約を締結することを条件として売買される土地のことをいいます。
※ 工事請負契約が成立した場合に土地売買契約の効力が発生する停止条件付土地売買契約と、工事請負契約が成立しなかった場合に土地売買契約の効力が消滅する解除条件付土地売買契約の場合等があります。
土地の売買契約のなかで前記のような条件が定められるものの、売買契約の対象は土地であり、建物は含まれません。建物については、買主が、売買契約とは別に、売主または売主が指定する建設業者との間で、工事請負契約を締結することになります。
そして、もし土地売買契約のなかで定められる一定期間内に建物の工事請負契約が締結されなかった場合には、土地売買契約は白紙になり(売買契約の効力が発生しない、または効力が消滅する)、買主が売主に支払った手付金等は、買主に返還されることになります。
2 問題点
このような建築条件付土地の売買契約の問題点としては、
・ 建物の工事請負契約の締結期限が短い場合には、買主が、建物の建設業者との間で十分な打ち合わせや検討ができないまま工事請負契約を締結してしまうことがあること
・ 建物の建築に当たって買主の意向が反映されると言っても、建設業者側が提示するプランの範囲内であることが前提となっており、買主が自由に決められる範囲がほとんどないような場合があること
・ 他の建設業者に頼んで建物を建てたほうが安いとか、建設業者の提案が気に入らないなどの理由により、建設業者を変更したいと希望しても、変更することができないこと
・ 建物の工事請負契約締結後にその契約が解除になる場合、設計料等の名目で多額の費用や違約金等を請求される場合があること
・ 建物の工事請負契約締結後に土地売買契約を解除する場合、土地売買契約の内容に従って、売主に支払った手付金を放棄する(解約手付の放棄による解除が可能な場合)などの対応が必要になること
などが挙げられます。
※ 建築条件付土地の売買契約や工事請負契約の内容は様々ですので、上記のような問題が全ての契約に当てはまるわけではありません。
なお、建築条件付土地売買契約のこのような問題に関して、国土交通省は、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第35条第1項第8号関係において、下記のとおり定めておりますので、参考までにご紹介いたします。
記
「宅地建物取引業者が、いわゆる建築条件付土地売買契約を締結しようとする場合は、建物の工事請負契約の成否が土地の売買契約の成立又は解除条件である旨を説明するとともに、工事請負契約が締結された後に土地売買契約を解除する際は、買主は手付金を放棄することになる旨を説明することとする。なお、買主と建設業者等の間で予算、設計内容、期間等の協議が十分に行われていないまま、建築条件付土地売買契約の締結と工事請負契約の締結が同日又は短期間のうちに行われることは、買主の希望等特段の事由がある場合を除き、適切でない。」
以 上
3 購入に当たって注意すること
このような建築条件付の土地を購入するに当たっては、上記のような問題が生じる可能性があることに注意し、建物の工事請負契約の締結期限、土地売買契約の手付解除の可否、建物の建築にあたり買主の意向はどの程度まで反映できるのか等を十分に確認してから、契約を締結する必要があります。