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弁護士
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2014年9月号

不動産売買に際し、留意しなければならない事項を弁護士が解説した法律のアドバイスです。

不動産売買のときに気をつけること~瑕疵(かし)担保責任とは?

相談例

ここがポイント

1.以上の事案は、御説明の便宜上、かんたんにまとめたものですが、実際の裁判を題材としています。ほかにもいろいろな論点はありますが、今回は、そのうちのひとつとして基本となるところからお話しして参りましょう。
 以上の御相談をよまれて、皆さまはどのようにお考えになられたでしょうか。
 ひとつの考え方としては、自分の欲しかった土地を入手できたのだから、「その土地を買った」という買主の目的は達したのであって、撤去費用を買主が負担するのはやむをえないと考えられる方もおられるかもしれません。
 しかし、他方、その土地はたしかに買えたが、予想もできなかった埋設物が地中にあり高額な撤去費用を更に買主に負担させるのは不公平だ、売主に負担させるのが公平だ、という考えもあるでしょう。
 実は、この後者の考えが「瑕疵担保責任」というものです。このことを、「売主」は「買主」に対し「瑕疵担保責任」を負う、といいます。裁判例でも、瑕疵担保責任が認められ、売主に対し地中埋設物の撤去費用を買主に支払うよう命じたものがあります。

2.「瑕疵」の定義
 不動産売買契約書を御覧になった方は、「瑕疵」担保という記載を目にされると思います。
 「瑕疵」とは「かし」と読みます。「きず」とか「欠陥」、「欠点」という意味です。「きず」という表現ですと、建物(不動産)の「きず」のように限定されたイメージがついてしまいますので、不動産売買の場合、「欠陥」ぐらいでとらえておいていただければよろしいかと存じます。たとえば、家のなかに「雨漏り」があれば、通常、建物に「瑕疵」があると認められるでしょう。また、地中埋設物がたくさん土地の中に残っていて、購入目的だった建物が建てられない、などの事情があれば、「土地」に「瑕疵」があると認められます。
 法律用語としては、「通常有するべき品質・性能を備えていないこと」を「瑕疵」と表現しています。

3.「瑕疵」の判断基準
 「瑕疵」があるかどうかは、一般的抽象的に判断できるものではなく、契約内容と目的物の性質に応じて、個別具体的に判断されなければならないとされています。
 たとえば、購入した土地の地中に、昔、解体された建物の基礎の残骸が残っていたとします。
 この場合、客観的に地中内に存在するもの自体は同じでも、土地の「瑕疵」にあたると判断される場合もありますし、逆に、「瑕疵」にあたらないと判断される場合もあります。
 中高層マンション建築の為の売買において、「基礎の残骸」の存在によって、予定通り建築できないとなれば、「瑕疵」があると判断される可能性が高くなります。他方、「基礎の残骸」があっても、戸建て住宅を建てる為の売買であって、予定通り建築できるとなれば、「瑕疵」はないと判断される可能性があります。

4.「隠れた」瑕疵とは?
 買主が売主に対し「瑕疵担保責任」を追及するためには、「隠れた」瑕疵であることが必要といわれます。
 「隠れた」とはなにかといいますと、まず、売買契約の時に、買主が、欠陥(瑕疵)の存在を知らなかったことが必要です。買主が欠陥を知りながら買ったならば、欠陥を承知のうえでの売買ですから、後で買主が売主に責任を追及できるのはおかしいわけです。
 次に、「隠れた」とは、買主が欠陥の存在を知らないことに過失がなかったことを意味します。買主が、社会通念上期待される通常の注意を払っても発見できなかった欠陥(瑕疵)であることが必要です。

5.瑕疵担保責任の「期間」に注意
 不動産売買契約書に、瑕疵担保責任の条文が記載されている場合は、その条文が契約内容になっているので、よく中身を理解しておくことが必要です。
 行使する「期間」にも注意が必要で、例えば、「売主は、~引渡し完了の日から3ヶ月以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負います。」と規定されている場合は、「3ヶ月以内」に請求をしなければ、後で行使することができなくなってしまいます。

6.「瑕疵担保責任」は「無過失責任」
 売主が負う「瑕疵担保責任」は「無過失責任」と言われています。買主が売主に対し「瑕疵担保責任」を負うように求めてきた場合、売主がいくら「自分はこれだけ注意を払って売ったんだ」「売った自分に、不注意とか過失はなかった」などと主張しても、「瑕疵担保責任」を負うことを免れることはできないというわけですね。

7.「瑕疵担保責任免除特約」
 さきに述べましたように、「瑕疵担保責任」は売主の無過失責任ですので、売主にとって負担となるものですが、売主が負担を負いたくないと考え、買主も「売主に負担を負わせなくても構わない」、「瑕疵担保責任を売主に請求できなくてよい」と考えれば、そのように、双方で合意することも自由です。
 売主と買主との契約時に「売主は買主に対し瑕疵担保責任を負わなくてよい」と合意することを「瑕疵担保責任免除特約」などといいます。
 この責任免除特約は、売主にとって負担が軽くなるものですので、売主はなるべく契約書のなかに入れたい条項でしょうが、他方、買主からすれば、問題となるような瑕疵がないならば、瑕疵担保条項が入っても売主は実際に困らないではないか、という考えもあり、結局は、免除特約を入れるか入れないかは、買主・売主の考えがどこで一致するかによるといえましょう。

8.「瑕疵担保責任免除特約」があっても売主が責任を負う場合とは?
 瑕疵担保責任免除特約を買主・売主の双方で合意しても、次のような場合は、売主はなお責任を負うとされています。
 ひとつは、瑕疵担保責任免除特約をたしかに双方で合意したが、しかし、判明した瑕疵が「当事者の予想する範囲」を明らかに超えていて、このような「瑕疵」まで「責任免除」するというのは当事者の合理的な意思からしてもおかしいであろう、という場合です。このような理屈で、売主の責任を認めた裁判例があります。
 もうひとつ重要なことは、売主が買主に対し瑕疵の存在を「知りながら告げなかった」場合です。民法572条にも同じことが書いてあります。たしかに買主も瑕疵担保免責特約に合意したけれども、売主が瑕疵の存在を知りながら買主に告げなかったような「信義に反する」場合には、売主の「免責」は認めませんよ、という趣旨です。

 以上のとおり、今回は「瑕疵担保責任とは何か」をみていただきました。不動産売買契約について、後になって、紛争やトラブルが発生しないよう予防するためには、売主は自分の知っている不動産の欠陥や問題点などは全て隠さず、買主に対し正直に明らかにしたうえ、売買することが大事といえましょう。

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