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戦後の行楽地と現在

船橋周辺の沿岸部は、戦後も行楽地として発展。特に「船橋ヘルスセンター」は「白亜の温泉デパート」をキャッチフレーズに一世を風靡した。戦前からの遊園地「谷津遊園」のほか、競馬場、オートレース場などもあり、一帯は子どもから大人まで楽しめる東京近郊の行楽地として発展。その後、レジャーの多様化や近隣でのテーマパークの開業などから施設の改廃が行われ、現在は「ららぽーと」「イケア」をはじめとする大型商業施設や、大型団地、公園などが立地する地域となっている。


戦後の「谷津遊園」とその後 MAP __

「谷津遊園」は、戦後も海水浴や潮干狩りができる海辺の遊園地として人気があった。昭和40年代に南側一帯の海が埋立てられたが、一部は現在も「谷津干潟」として残っている。母体である「京成電鉄」の「東京ディズニーランド」への経営参画計画もあり、1982(昭和57)年に閉園した。【画像は1957(昭和32)年頃】

跡地の一部には、1986(昭和61)年に「住宅・都市整備公団」(現「UR都市機構」)による「谷津パークタウン」が誕生(写真)。「谷津遊園」内にあったバラ園は1988(昭和63)年に習志野市が運営する「谷津バラ園」となった。

写真は「谷津干潟」で、かつて「谷津遊園」の潮干狩り場・海水浴場があったあたり。周辺は昭和40年代に埋立てられたが、ここは「利根川放水路計画」(のちに中止)があったため埋立てられなかった。現在は貴重な湿地となっており、1993(平成5)年には「ラムサール条約登録湿地」にもなっている。 MAP __

「船橋競馬場」と「船橋オートレース場」

1928(昭和3)年に開設された「柏競馬場」は、戦後の1950(昭和25)年に現在地に移転し「船橋競馬場」として開場した。馬場の内周にはオートレース専用のダートコースの「船橋オートレース場」も併設して作られ、同年10月には国内初のオートレースが行われたが、その後ダートコースの使用が不可となり、オートレース場は1968(昭和43)年に「船橋サーキット」跡地に移転した。写真は1980年代の撮影で、手前が「船橋オートレース場」、奥が「船橋競馬場」。【画像は1980年代】

写真は現在の「船橋競馬場」。2018(平成30)年度より、通年でナイター競馬「ハートビートナイター」が開催されるようになった。 MAP __

「船橋サーキット」は、「船橋ヘルスセンター」を経営していた「朝日土地興業」(1970(昭和45)年に「三井不動産」と合併)により、日本で3番目のサーキットとして1965(昭和40)年に開設されたが、利用が少なく、また「船橋オートレース場」の移転先としての要望を受け、1967(昭和42)年に閉鎖、翌年「船橋オートレース場」(写真)となった。 MAP __【画像は1989(平成元)年】

「船橋オートレース場」は2016(平成28)年に閉鎖された。跡地では「三井不動産」により大型物流施設「MFLP船橋」(写真奥)の整備が順次行われ、2021(令和3)年に全ての施設が竣工。敷地内にはアイススケートリンク「三井不動産アイスパーク船橋」(写真左)、「ふなっしパーク」(写真右)などがある緑地空間「&PARK」も整備された。

「船橋ヘルスセンター」から「ららぽーと」へ MAP __

「船橋ヘルスセンター」は、1955(昭和30)年にオープンした総合レジャー施設。上は1960(昭和35)年頃の案内図。天然温泉の大浴場を中心に、遊園地、プール、舞台などがあり、年を追うごとに新たな施設が誕生していった。遊覧飛行場、遊覧船、モノレールなど陸海空の乗り物や、人工ビーチ、人工スキー場、自動車レースを行う「船橋サーキット」など大規模な施設も充実していた。【図は1960(昭和35)年頃】

写真は1960(昭和35)年頃の様子。開園時に経営していた「朝日土地興業」は、1970(昭和45)年に「三井不動産」と合併した。1970年代に入るとレジャーの多様化により来場者数が減少し、1971(昭和46)年には地盤沈下抑制のため温泉・ガスの汲み上げを差し止められたこともあり、1977(昭和52)年に閉園となった。【画像は1960(昭和35)年頃】

1981(昭和56)年、「船橋ヘルスセンター」の跡地に日本最大規模の大型商業施設「ららぽーと船橋ショッピングセンター」が開業。「三井不動産」が初めて手掛けたショッピングセンターで、当初は百貨店の「そごう」やスーパーマーケットの「ダイエー」も入っていた。その後も時代の変化に合わせて拡張や改装を行い、現在に至るまで人気の商業施設となっている。現在の名称「ららぽーとTOKYO-BAY」は2006(平成18)年から使用。写真は「北館」と「南館」の間にある「ハーバー通り」。


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