「渋谷駅」付近の「渋谷川」。
【画像は1921(大正10)年頃】
「渋谷川」は「宮益橋」付近で「宇田川」と「穏田(おんでん)川」が合流して発し、「渋谷駅」付近を通って「天現寺橋」まで約2.6kmを流れる川で、広義では「新宿御苑」に水源を持つ「穏田川」も含めて「渋谷川」と呼ばれることもある。「宇田川」の上流にあたる「河骨(こうほね)川」が唱歌『春の小川』の舞台になったように、かつての渋谷では農村の小川のようなのどかな風景が戦後しばらく存在していた。
それが、都市化が進む中、水害対策・宅地化・下水道整備などの理由で暗渠化が進んでいった。1961(昭和36)年の「東京都市計画河川下水道調査特別委員会答申」を経て、「渋谷川」は「宮益橋」から上流の区域を暗渠化して、下水道幹線として使用することが決まった。「東京オリンピック」の開催に向けて、「渋谷川」上流の暗渠化工事は急ピッチで進み、昭和40年代初頭までには、「渋谷川」上流と支流のほとんどが地表から姿を消した。
1934(昭和9)年、「渋谷駅」付近の「渋谷川」の上には、のちに「東急百貨店 東横店東館」となる「東横百貨店」が建てられ、関東初の私鉄直営ターミナルデパートとして大いに賑わいをみせた。2013(平成25)年、「渋谷駅」の再開発計画に伴い、「東急百貨店 東横店東館」は閉館となり、その後解体された。
2018(平成30)年、再開発の一環で、東急東横線「渋谷駅」の地上駅跡地(「国道246号」より南側部分)に大型複合施設「渋谷ストリーム」が開業、隣接する「渋谷川」沿いには「渋谷リバーストリート」が誕生した。下水の高度処理水を利用し「渋谷川」の水流を復活させており、川沿いには遊歩道などの水辺空間が整備されている。